TOPキーパーソンインタビュー> Java EE5への対応と今後のロードマップ
キーマンが広げるオープンソースビジネスの輪
第2回:Apache Geronimoのコミッタが示す新しいアプリケーションサーバの姿

Apache Geronimo Committer/PMC Member
Kevan Miller

Apache Geronimoのコミッタであると同時に、プロジェクト全体を管理するPMC(Project Management Committees)のメンバーでもある。GeronimoのEJB機能を提供するOpenEJBの開発メンバーとして活動し、現在はプロジェクトの方針の決定や改良の受け入れを行う立場にいる。

Apache Geronimo Committer/PMC Member Kevan Miller
野村総合研究所  情報技術本部 オープンソリューションセンター 副主任テクニカルエンジニア  梶山 隆輔

野村総合研究所
情報技術本部  オープンソリューションセンター
副主任テクニカルエンジニア
梶山 隆輔

OSSC(オープンソースソリューションセンター)においてマーケティング担当。同時に海外のオープンソース関連企業とのパートナーシップの構築や共同ビジネスの展開を推進している。

OpenStandia
http://www.nri-aitd.com/openstandia/
1   2  3  次のページ
Java EE5への対応と今後のロードマップ

   Apache Software Foundationにて開発が進むオープンソースのJ2EEサーバApache Geronimoプロジェクトの現状や開発方針について、コミッタ兼プロジェクト管理チームのKevan Miller氏に話を伺った。プロダクトの特徴などの紹介のほかに、複数のオープンソースが連携して大規模システム向けのプロダクトを開発する独自のプロジェクト運営などが述べられている。


梶山氏   まずはApache Geronimoの特長を教えてください。

Kevan Miller氏 Miller氏   Geronimoは、Apacheソフトウェアライセンスで公開されているサーバサイドアプリケーションを構築するためのランタイムで、オープンソースプロジェクトとして開発されているEclipseなどの複数の優れたプロダクトで構成されています。開発のポリシーとしては利用の容易性を重視しています。

  新機能や最新のバグフィックスをユーザにいち早く利用してもらうために頻繁なリリースを行い、フィードバックを得ながら開発を進めることでユーザとの一体感のあるコミュニティ作りを目指しています。またコミュニティからもたらされる最新技術とIBM WebSphereからの寄贈される大規模システム向けの技術を融合し、実現性のあるロードマップ作りと同時に先進的なビジョンを描くことができます。

梶山氏   Geronimoの現在のラインナップを教えてください。

Miller氏   現在はJ2EE1.4準拠の1.1.1というバージョンが最新版になっています(注)。これに加えてダウンロード可能なバイナリは、アノテーションなどJava SE5の仕様に対応させた1.2のβとJava EE5への対応を進めている2.0のM2(マイルストーン2)の2種類になります。1.2は2.0を実装するために必要となる機能を盛り込んだ、足がかりとなるバージョンです。

※注: ※2007年2月9日時点

  2.0ではJava SE5の機能を完全に利用可能となります。またEJB3.0への対応で開発者がシンプルにEJBを利用できるようになり、かつEJB2.1でネックとなっていたパフォーマンスも大幅に改善しています。

梶山氏   それぞれのリリース時期はいつ頃ですか。

Miller氏   1.2は2月中です。2.0は4月頃を目標としています。メッセージ駆動Beanを除けば、すでにM2ではOpenEJBで実装されたEJB3.0を取り込んでいます。プロジェクトの進行状況はバグ管理システムJiraにて公開していますので、新機能やバグの修正などを随時確認できます。

Java Platform, Enterprise Edition 5.0 (JSR 244)
http://cwiki.apache.org/GMOxPMGT/geronimo-java-ee-50-report-card.html

梶山氏   現状ではクラスタリング機能はGeronimoに含まれるApache TomcatやJettyのHTTPセッションレプリケーション機能を利用していますが、この部分などを拡張する予定はありますか。

梶山 隆輔氏 Miller氏   EJBや分散キャッシュなどのクラスタリングには、3つ候補としてあがっている実装をどのようにGeronimoに統合していくか検討中です。Gcacheは分散キャッシュの仕組みとして、Codehausで開発されていてEJBクラスタリングのWADIはGeronimoプロジェクトの一部として統合作業を進めています。Terracotta, Inc.が開発しオープンソース化しているOpen Terracottaという独自の機構を持つクラスタリングツールも、Geronimoと連携させる方法をWikiで公開中です。

梶山氏   長期的にはどのような方向性を目指しているのでしょうか。

Miller氏   Geronimoのコンポーネントとしては、ESBのインフラとしてのServiceMixなどを組み込んでおり、SOAのインフラとして成長させていくのが1つの方向性となります。その中でも我々は、開発および運用の容易性について常にフォーカスしていきます。


1   2  3  次のページ

INDEX
第2回:Apache Geronimoのコミッタが示す新しいアプリケーションサーバの姿
Java EE5への対応と今後のロードマップ
  Apache Geronimoならではのアドバンテージ
  コミュニティのコラボレーション