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第2回:Apache Geronimoのコミッタが示す新しいアプリケーションサーバの姿
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Apache Geronimoならではのアドバンテージ

梶山氏   アプリケーションサーバとしてApache Geronimoを選択する最大のメリットを教えてください。

Miller氏   様々なコミュニティで開発されているプロダクトを取り込んでいる点もメリットとして挙げられますが、あえて最大のメリットというと「ライセンス」にあると私は考えています。基本的にApacheソフトウェアライセンスおよび互換性のあるBSDスタイルのライセンスのプロダクトのみで構成されており、GPLやLGPLのプロダクトは含みません(一部CDDLなどのライセンスもあり)。

梶山 隆輔氏 梶山氏   それは若干意外です。技術的な点をメリットに挙げられるかと思っていましたが。

Miller氏   Geronimoが採用しているApacheソフトウェアライセンスは、特にビジネス用途でGeronimoを利用しようとする際、他のライセンスに対してアドバンテージを持つこととなります。Apacheソフトウェアライセンスの元で配布されているソースコードの場合は、自社のために修正した箇所の公開を義務づけていませんが、たとえばLGPLなどの場合はソースコードの一定部分を公開する必要があります。

  もちろん厳密にソースコードを管理すると、公開しなければならないソースコードが不用意に増えてしまうことを防ぐことはできます。しかしApacheソフトウェアライセンスならびに類似した形態のBSDスタイルのライセンスの場合はそのような手間をかける必要はありません。

梶山氏   実際複数のライセンスのオープンソースソフトウェアが混在した形で配布されるプロダクトは、再配布の際のソースコードの添付の必要性に悩むケースがありますね。

Miller氏   その通りです。私自身、LGPLのライブラリと他のライセンスのライブラリが同梱されたプロダクトの利用を検討した際など、調整や確認に非常に時間を取られたことがあります。このような作業に時間をかけるのではなく、Geronimoを活用したプロダクトやシステムの品質を上げることに注力すべきです。もちろんライセンス条項を確認することは重要です。

梶山氏   なるほど。では技術面でのポイントはいかがでしょうか。すでに市場にはJ2EEのカテゴリにはいくつもの製品が出ていますが。

Kevan Miller氏 Miller氏   確かにすでにJava EE5の実装をすませて市場に登場しているプロダクトが存在しており、早急にキャッチアップするための活動は継続しています。それ以外にもGeronimoに標準で提供されるWebベースの管理コンソールは、特にビギナーが利用する際の敷居を下げ、また管理者の負荷を少なくする点でメリットがあるでしょう。Apache Tomcatなど他のプロダクトではこのようなツールが存在していなかったり、利用には有償のサポートサービスを購入する必要があったりします。

  また「Little-G」というパッケージを用意しています。このパッケージには、モジュールのライフサイクル管理を行うGeronimoのカーネル機能とWebコンテナ(Apache TomcatもしくはJettyから選択可能)のみが含まれているため、個々のニーズに応じたライブラリを追加して独自のアプリケーションサーバパッケージの構築が容易に行えます。さらにカーネル機能のみをMini-Gとして提供することも検討中です。


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INDEX
第2回:Apache Geronimoのコミッタが示す新しいアプリケーションサーバの姿
  Java EE5への対応と今後のロードマップ
Apache Geronimoならではのアドバンテージ
  コミュニティのコラボレーション