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ユーザ企業によるRFP作成奮闘記
ユーザ企業によるRFP作成奮闘記

第2回:難航したRFP作成
著者:日本軽種馬登録協会   岩元 正文   2006/7/13
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はじめに

   前回紹介した通り、血統書システムのインターネット活用に向けて、構築・運用コストの面でオープンソースによるシステムを導入することが決まった。今回はRFPの作成について紹介する。
RFPを作成することのメリット

   これまでのシステム開発の経験から、利用部門担当者の頭の中には業務手順が整理されていても即座に提示できないことや、必要とする機能にゆれがでてきてしまうことなどから、開発を進める上で利用部門と受注会社とのミーティングの回数が増えることが想定され非効率的である。そこでスムーズに進めるためにもRFP(Request For Proposal:提案依頼書)の作成を考えた。

   これにより利用部門と現状の業務手順や必要とする機能を整理し、開発の背景・目的・効果を事前に明確にした上で発注することで、ミーティングの回数や手戻りが低下して効率的に進めることができる。そして効率がよくなればその分コストダウンができるのである。さらに自ら設計の一部まで踏み込めれば、よりコストダウンにつながるのだ。

   また入札による調達の際、価格だけでなく品質とライフサイクルコストも重要である。つまり入札に参加する企業に対して、開発の背景・目的・効果を適切に説明できなければ我々の考えが伝わらず、結果として品質が落ちてしまう。つまり単なる入札説明書では、すべてを伝えることが難しいと考えた。

   そのような理由から質の高い情報システムを適正に調達するため、企画提案方式や総合評価方式などによるRFPを利用した調達についても研究を行った。

   RFPがよいとわかってはいたが、それに取り込むための参考となる事例がなかなか見当たらなかったという問題に直面した。

アナログ(書籍)データからデジタル(Web)データへ
図1:アナログ(書籍)データからデジタル(Web)データへ

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財団法人 日本軽種馬登録協会
「軽種馬の登録を行い、軽種馬の改良増殖及び資源の涵養並びに競馬の公正な施行に資すること」を目的に設立され、各馬の血統調査、個体識別、科学的技法による親子判定を行い登録しています。登録された馬にはそれぞれの登録証明書が交付され、様々な場所で個体の確認に活用され、競馬の公正な施行や血統の保持に役立っています。

インターネット血統書データベースサービス(フルオープンソースのシステム)
馬名、輸入馬、繁殖成績、血統登録、五代血統表等の最新の公式情報を提供。保有するデータベースは70万件を超え、毎年約3万件が追加されています。
URL:http://www.studbook.jp/

日本軽種馬登録協会  岩元 正文氏
著者プロフィール
財団法人 日本軽種馬登録協会   岩元 正文
情報システム部 部長
現在、動物用RFIDに関連した応用研究に取り組む。動物用RFIDは、軽種馬生産・競馬産業界ではマイクロチップと呼ばれ、個体識別を補完する目的で導入が計画されている。また個体識別だけでなく実世界との連携動作で、高度な情報処理に役立つ可能性を秘めており研究中である。さらにユビキタスコンピューティングにいち早く取り組み、業界のみならず広く一般社会に貢献できる基盤整備に向けて研究を重ねる毎日である。


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