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ユーザ企業によるRFP作成奮闘記
第2回:難航したRFP作成
著者:
日本軽種馬登録協会 岩元 正文
2006/7/13
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RFP作成の見本を求めて
そこで再び書店やWebサイトを探して、やっと見つけたのが特定非営利活動法人 ITコーディネータ協会の「開発委託用RFP見本 V1.0d」である。
参考文献
「RFP・SLAドキュメント見本」
ITコーディネータ協会
http://www.itc.or.jp/foritc/useful/knowhow/index.html
「開発委託用RFP見本 V1.0d」はRFPの作成の流れが体系的にまとめられており、これは参考になると確信した。すでに利用部門とは、血統書のインターネット化の事業要求事項をまとめてあったため、早速「開発委託用RFP見本」を参考にRFPの作成に入った。
RFPの前半部分にはシステム概要や提案依頼事項、後半部分には提案書の提出などの事務手続きや開発に関する条件、保証要件、契約事項などを盛り込んだ。また想定メニューやWebブラウザへの表示項目、表示順位、データ抽出条件などすでに固まった部分については、独自に「要求要件の詳細」として追加した。難解な協会/業界特有の用語についても用語集を添付し、はじめての企業でもわかるように工夫した。
図2:検討中のRFPの表紙と手書きで修正中の中身
プロポーザル方式(注1)での調達の事務手続きについては、武生市(現福井県越前市)の「武生市中学校給食調理等業務委託プロポーザル実施要領」の例を参考にした。特に実施要領や参加申込書は、非常に有効であった。
※注1:
プロポーザル方式とは、官公庁などの発注者が設計者を選定する際に、設計者に設計の考え方などの書類を提出してもらい、選定する方式のこと。指名型と公募型がある。
プロジェクトはスタートしたが
血統書のインターネット活用にあたっては、表1にあげる内容を検討する必要があったため、利用部門だけでなく関連した部門の担当者を含む一大プロジェクトが2004年3月にスタートした。
今までの血統書に掲載されていない新たな情報を加味すること
既存のWebサイトと統合をはかること
ユーザが利活用しやすいものにすること
最新情報を提供すること
表1:血統書のインターネット活用にあたって必要な要件
このプロジェクトには、日々発生する情報を入力・照合する情報収集部門から情報利用部門まで、多彩なメンバーが参加していた。そのためプロジェクトのメンバー全員がITに詳しいというわけではなく、「ホスティングサービスとは何か」といった用語解説からはじめなければならなかった。
筆者の場合は、「ホスティングとはインターネットサーバのアパートあるいはマンションで、通信機器やコンピュータなどは共同利用するもの」といったように、わかりにくい用語は例におきかえて理解してもらうように努めた。
また時間的な制約もあった。4月から9月は当協会のメイン業務である血統登録審査の時期であり、当然プロジェクトのメンバーの多くは生産地への出張に行くことも多いため、その合間を縫ってRFPの詳細を詰めなければならなかった。
時間的な余裕はなかったが、プロジェクトメンバーの協力を得て着実にプロジェクトを進めていったのである。
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財団法人 日本軽種馬登録協会
「軽種馬の登録を行い、軽種馬の改良増殖及び資源の涵養並びに競馬の公正な施行に資すること」を目的に設立され、各馬の血統調査、個体識別、科学的技法による親子判定を行い登録しています。登録された馬にはそれぞれの登録証明書が交付され、様々な場所で個体の確認に活用され、競馬の公正な施行や血統の保持に役立っています。
インターネット血統書データベースサービス(フルオープンソースのシステム)
馬名、輸入馬、繁殖成績、血統登録、五代血統表等の最新の公式情報を提供。保有するデータベースは70万件を超え、毎年約3万件が追加されています。
URL:
http://www.studbook.jp/
著者プロフィール
財団法人 日本軽種馬登録協会 岩元 正文
情報システム部 部長
現在、動物用RFIDに関連した応用研究に取り組む。動物用RFIDは、軽種馬生産・競馬産業界ではマイクロチップと呼ばれ、個体識別を補完する目的で導入が計画されている。また個体識別だけでなく実世界との連携動作で、高度な情報処理に役立つ可能性を秘めており研究中である。さらにユビキタスコンピューティングにいち早く取り組み、業界のみならず広く一般社会に貢献できる基盤整備に向けて研究を重ねる毎日である。
INDEX
第2回:難航したRFP作成
はじめに
RFP作成の見本を求めて
盛り込む必要があった条件の選定