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ソーシャル・ネットワーキング・サービスのビジネス利用
第3回:ソーシャル・コミュニティ・マーケティングの目的を達成するには
著者:
イースリー 戸辺 淳一郎
2006/4/4
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ブランドの確立
いよいよ最後のテーマ「ブランドの確立」について紹介します。はじめに断っておきますが、ブランドとはシンボルや名前のことではありません。「企業と顧客との約束」「企業のアイデンティティ」のことです。そして、ブランド構築には4つのキーポイントがあります。
ストーリー性(伝説と話題づくり)
実質価値(こだわりと自己革新)
顧客をひきつけるオリジナリティ
独自の世界観とホスピタリティ
表3:ブランド構築の4つのキーポイント
これらを意識して、イースリーでは表4のマトリックス戦略で「eFutsal」というブランドを確立しました。
ストーリー性
どこのメーカが新製品を出しても、必ずどこよりも早くレポートする。新製品が出るときは必ずモニタ募集を行う。
実質価値
コミュニティサイトを利用した徹底したフォローの体制(購入前のフォロー、購入後のフォロー)を構築する。
オリジナリティ
初心者の会員が多いため、何か商品を購入した方には必ず「フットサルワンポイントレッスンカード」を同封する。
独自の世界観
会員との距離の近さをいかして、会員が気軽に質問できる環境を構築する(友だちに相談する感覚に限りなく近い感覚で、ショップと相談ができる)。
表4:仮想コミュニティサイトイースリーのeFutsalのブランド戦略
SNSマーケティングは万全なマーケティング手法ではありません。ブランドの確立は究極のマーケティング手法であり、あくまでSNSだけでは実現できるものではありません。SNSはブランド確立のための1つのツールに過ぎないということを理解しつつ、最大限に活用してください。
こうしてコミュニティサイト設立当初の目的はほぼ達成されました。今後はこの環境を維持していくことが重要な課題となります。
STEP6:事務局の強化
通常のECサイトだと、よほどのファンでない限りECサイトを毎日訪れるということはありません。しかしSNSでは日記を書いたり、友達の近況を見たりと、ECサイトに毎日訪れるという必然性を生み出すことができます。
そのためECサイトほど直接的ではないにせよ、会員は常に頭のどこかにeFutsalというものを描くことになります。ここまでのSTEPでそういったコミュニティサイトを作り上げることができたのですが、ここで手を抜いてはいけません。
コミュニティが成熟して安定稼働するようになっても、事務局の仕事は終わりではありません。会員がコミュニティサイトに毎日訪れるという必然性を維持しなければ、コミュニティサイトを稼働させる意味がなくなってしまいます。
会員が飽きてしまうことがコミュニティサイトにとっての最大の脅威です。そのため、新しい情報を常に送り続けるファシリテータ(世話人・手助けをする人)は必須です。会員の中から発言力のある方を見つけたら、その方にファシリテータになっていただけないかというお願いを持ちかけ、ファシリテータとしての正式な契約を結ぶのもよい方法だと思います。
会員がファシリテータになれば、事務局側とはまた違った視点で、より会員に近いところでコミュニティサイトを引っぱっていくことができるでしょう。
コミュニティサイトから得られる副産物
成熟したコミュニティサイトは「リサーチの場」という新しいメリットももたらしてくれます。リサーチの場があれば、会員向けにいつでも簡単にアンケートを実施することができます。
本来はある程度の予算を持ってキャンペーンなどを実施しながら市場動向をみなければならなかったのですが、いつでも好きな時に会員向けにアンケートを実施できるのは大きなメリットといえるでしょう。ECサイトにおけるSNSの成功事例はいくつか聞いておりますが、おおよそが今回仮定したeFutsalのようなストーリーをたどっています。
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製品紹介
「SNSエンジン、comnit(コムニット)」
本連載は株式会社イースリーおよび株式会社ラソナの開発したSNSエンジン、comnitの利用ケースをもとに記事を掲載しています。
comnitで作り上げたコミュニティを生かして、お客様のマーケティング手法に合わせた実践的なケースをご紹介いたします。
詳細はコチラ
http://www.comnit.jp/
http://www.e-3.jp/
著者プロフィール
株式会社イースリー
代表取締役CTO 戸辺淳一郎
2003年8月にイースリーを設立。Webシステム構築の請負、パッケージ開発を行うかたわら自社サービスの展開を目指している。Webアプリの開発の現場においては、最高の品質を提供できるようにすることを追求している。現在では主にプロジェクトマネジメントに携わっているが、現場の技術から離れないように、毎日趣味でのプログラミングも欠かさない。毎日何かを吸収しないと気がすまない。
INDEX
第3回:ソーシャル・コミュニティ・マーケティングの目的を達成するには
STEP4:イベントの開催
消費者から発信する情報であるCGM
ブランドの確立
ECサイト以外の業種でのSNS実例