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第3回:ソーシャル・コミュニティ・マーケティングの目的を達成するには
著者:イースリー  戸辺 淳一郎   2006/4/4
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消費者から発信する情報であるCGM

   ここまでで会員の主体性を大事にすることが重要だということを説明しましたが、それは会員の方の発言力が絶大な影響力を持っているからです。例えば、ある商品Aをショップの店員からオススメされるのと、自分の友人からオススメされるのとでは、あなたはどちらの方を買う気になるでしょうか。おそらく、友人からオススメされた方だと思います。

   このように消費者(今回の例では会員)が発信する情報は、昨年の初頭から日本でも注目を浴びており、このような情報の総称がCGM(Consumer Generated Media)と呼ばれているのです。CGMは従来のマーケティングにはない新しいマーケティングの要素の1つであり、非常に重要な概念です。

   なぜCGMがこのように注目を浴びているのでしょうか。それは第1回でも説明したように、従来型のマーケティングが限界を迎えてきていることが要因の1つだといえるでしょう。またハードディスクレコーダの普及により、消費者はテレビCMをスキップすることが容易になり、マスコミュニケーション媒体の影響力が低下してきていることなども背景にあるといわれています。

   他の要因は、先ほどの「友だちからオススメされたほうが買う気になる」という言葉に端的にあらわれています。企業側による情報発信(広告)より、消費者にとってより響くということがCGMの特長であり、これもCGMが注目される要因の1つです。

   これは友だちが発信する情報に限ったことではなく、一般消費者が発信した情報にも同じことがいえます。つまり、企業が発信する情報よりも消費者が発信した情報の方が中立的な立場で語られているために、信頼度が高くなるのです。


会員のメッセージをいかすCGMコントロール

   CGMをコントロールすることがCGMをビジネスで活用する上での重要な課題になります。CGMをコントロールするといっても、情報そのものをコントロールしてはいけません。中立的な情報、信頼度の高い情報ということが大切ですので、会員からの正直なメッセージはそのまま伝えるようにしてください。

   それでは、ここでいうCGMのコントロールとは一体何なのでしょう。それは情報の内容の操作ではなく、個人が情報を発信しやすくしたり、発信した情報が人に伝わりやすくしたりする環境作りのことです。

   アップルはiPodの販促の一環として女性誌の編集者にiPodを貸し出し、その使い勝手などを実感してもらいました。編集者たちは思いのほかiPodが使いやすいということがわかり、その結果iPodは女性誌に数多く登場することとなりました。これは情報伝達の仕組みの操作の好例といえるでしょう。

   SNSによるコミュニティには情報発信の得意な人が必ずいます。そういった会員をインフルエンサー(影響者)として情報をリークしたり、新製品のモニタになってもらったりすることで、情報をスムーズに伝播させることができるのです。


ライフタイムバリューの向上

   コミュニティサイトを立ち上げる2番目の目的である「顧客の単価を上げる」ということは、ECサイトの例では商品をリピート購入をしていただくことに他なりません。とはいえ、これから目的を達成するために1から何かを構築するわけではありません。ここまで紹介した施策の結果、リピート購入を促進する仕組みはできるのではないでしょうか。

リピート購入者の増加
図3:リピート購入者の増加

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「SNSエンジン、comnit(コムニット)」
本連載は株式会社イースリーおよび株式会社ラソナの開発したSNSエンジン、comnitの利用ケースをもとに記事を掲載しています。

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株式会社イースリー 代表取締役CTO 戸辺淳一郎
著者プロフィール
株式会社イースリー
代表取締役CTO   戸辺淳一郎

2003年8月にイースリーを設立。Webシステム構築の請負、パッケージ開発を行うかたわら自社サービスの展開を目指している。Webアプリの開発の現場においては、最高の品質を提供できるようにすることを追求している。現在では主にプロジェクトマネジメントに携わっているが、現場の技術から離れないように、毎日趣味でのプログラミングも欠かさない。毎日何かを吸収しないと気がすまない。

INDEX
第3回:ソーシャル・コミュニティ・マーケティングの目的を達成するには
  STEP4:イベントの開催
消費者から発信する情報であるCGM
  ブランドの確立
  ECサイト以外の業種でのSNS実例