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グループウェア調査
中堅・中小企業におけるグループウェアの利用実態

第2回:SMBにおける「Lotus Notes vs サイボウズ」の攻防戦
著者:ノーク・リサーチ  伊嶋 謙二   2006/11/10
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2. 年商規模の小さな企業群の顧客化に成功した「サイボウズ」

   図2は2006年のグループウェアパッケージシェア(年商50億円を境に区分したもの)である。年商50億円未満ではトップが「サイボウズoffice」で23.6%、2位が「Lotus Notes」で16.1%、3位が「Microsoft Exchange」で14.6%、4位が「desknet's」で11.1%、5位が再びサイボウズで「サイボウズガルーン」が5.0%となっている。
グループウェアパッケージシェア年商別(年商不明は除く)
図2:グループウェアパッケージシェア年商別(年商不明は除く)
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   一方、年商50億円以上では、トップが「Lotus Notes」で36.8%、、2位が「サイボウズoffice」で18.2%、3位が「Microsoft Exchange」で11.2%、4位が「desknet's」で6.2%、5位が「Star Office」で4.7%となっている。

   これをみると、サイボウズは企業規模の小さいユーザに的を絞ってシェアを取る戦略をとったことが明白だ。年商50億円未満ではサイボウズ両製品のシェアを合計すると28.6%と、Lotus Notesとの差を10ポイント以上つけている。確かにいまだにLotus Notesは国内でも多くのユーザを抱えていることに間違いはないが、小規模のワークグループで簡単に導入するというよりも、エンタープライズ環境のグループウェアとしての印象が強く、この構図はいまや定式化しているといえるだろう。

   図3は2006年のグループウェアパッケージシェアとパッケージに対する評価を合わせたグラフになる。グループウェアパッケージの評価については、シェア上位5社において、最も高い評価を得ているのが「サイボウズガルーン」の77.5、次いで「サイボウズoffice」で75.4、「desknet's」の74.9、「Lotus Notes」の69.9、「Microsoft Exchange」の63.0が続く。

グループウェアパッケージシェアと評価
図3:グループウェアパッケージシェアと評価

   評価については、年商別に区分した数値を用意していないので細かなコメントは差し控えるが、少なくともここではSMB全般においてLotus Notesはシェアが依然トップではあるが、評価はサイボウズが高いということがいえるだろう。この要因は「Lotus Notes」がカスタマイズを前提にした「ソリューション」なのに対して、「サイボウズ」は「パッケージ」としてそのまま利用することができることにある。費用対効果の面でも初めから期待度が違うために、相対的にサイボウズの評価は高めに出やすいことは明白だ。

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有限会社ノーク・リサーチ 伊嶋 謙二
著者プロフィール
有限会社ノーク・リサーチ   伊嶋 謙二
1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどをプラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関するリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。
ホームページ:http://www.norkresearch.co.jp/


INDEX
第2回:SMBにおける「Lotus Notes vs サイボウズ」の攻防戦
  はじめに
2. 年商規模の小さな企業群の顧客化に成功した「サイボウズ」
  3. 今後企業規模に関わらず「サイボウズ」が勢力を伸ばせるのか