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シンクライアントの実力
昔とは明らかに違うシンクライアントの実力

第1回:セキュリティ対策とTCO削減を同時に達成するシンクライアント

著者:TIS  小林 千恵   2006/10/6
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はじめに

   近年、個人情報保護法の施行や、相次ぐ情報漏洩事故による企業の信用失墜といった背景を踏まえ、企業内部に対するセキュリティの強化要求が高まってきています。またクライアントPCの管理効率の向上やTCOの削減要求も強くなっています。このような背景を受けて、今「シンクライアント(Thin Client)」に注目が集まっています。

   当社でも、社会的背景を踏まえ、自社のシステム基盤のセキュリティ強化を最重要課題とし、2005年より自社での技術調査、試験導入を経て、シンクライアント導入を決定しました。端末には、サン・マイクロシステムズのシンクライアント「Sun Ray Virtual Display Client(以下、Sun Ray)」を使用し、シンクライアントシステム上でWindows環境を実現しています。

   当社では、お客様に提供するソリューションのショーケースとなりうるシステム、品質を目指した取り組みを行っております。シンクライアント導入の取り組みは、当社だけでなく広く企業が抱える課題への解決策となると考えています。当社は今回の自社導入で蓄積したシンクライアントシステム構築時の問題と対応策をノウハウとして蓄積し、「シンクライアントソリューション」として提供しています。

   本連載では、企業の視点でシンクライアント導入の効果や導入にあたっての課題について、当社の導入経験から得た内容について紹介し、今後シンクライアントソリューションの新たな展開がもたらす効果を解説していきます。

導入の経緯

   シンクライアントを導入する以前、当社における課題には表1にあげる3つがありました。

さらなるセキュリティ対策強化への取り組み
全社レベルで認証システム/アカウント管理システムなどを導入。しかし、業務特性により個々のPC環境は多様にならざるを得ず、また個人情報を扱うことも多いため、高度なセキュリティレベルが求められ、その管理は複雑さを増している現状がある。このような内外の脅威に対して、よりセキュリティレベルを高め、リスクを回避する方法が必要になっていた。
生産性向上への仕組み作りと新たなオフィス環境の構築
企業としての生産性向上やグループ企業内のコラボレーションのため、グループウェアや開発環境の導入を推進。しかし多様化するアプリケーションや開発環境、およびそれらを使った業務フローをいかに集約し、生産性を向上するかが課題として浮かび上がってきた。また、プロジェクトごとに変動する体制や様々なワークスタイルへの対応として、オフィススペースを見直す必要もでてきた。
TCOの削減
PCが社内基盤として整備されており、また開発/運用といった業務に応じて複数の端末が必要。そのため、端末の運用管理にかかる工数は増加の一途をたどっていた。また各社員による作業項目も多く、頻繁なメンテナンス作業やパスワード忘却による業務停止など、本来の業務以外の作業コストが発生していた。TCO削減の中でも特にこれらの運用管理コストの削減と効率化が必須となっていた。

表1:当社が抱えていた課題

   これらの課題は、多くの企業が抱えている問題ではないでしょうか。当社ではお客様にソリューションを提供するにあたって、自社内で実際に導入し、その効果を自ら体験した上で提案するという姿勢を大切にしており、今回導入したシンクライアントもその1つです。

   先にあげた社会的背景を踏まえ、表1にあげる自社内の課題を解決する新たなソリューションとして、シンクライアント導入プロジェクトを立ち上げました。

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TIS株式会社  小林 千恵
著者プロフィール
TIS株式会社  小林 千恵
事業統括本部 産業第3事業部 基盤ソリューション部
オープン系システムのインフラストラクチャ設計・構築を経て、TIS社内における基盤フレームワークを策定。現在はシンクライアントをはじめとする基盤ソリューションのアカウントSE・プリセールス業務に従事。


INDEX
第1回:セキュリティ対策とTCO削減を同時に達成するシンクライアント
はじめに
  なぜシンクライアントなのか
  導入過程の取り組み