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CMMI
ソフトウェアプロセスレベルを向上させるCMMI活用術 〜 ソフトウェア開発の品格

第4回:オフショア企業にとってのCMMI
著者:日本コンピューター・システム   新保 康夫
日本和光コンサルティング  久野 茂
   2006/5/25
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オフショア開発とCMMI 〜 問題点と対処法

   オフショア開発において、海外のソフトウェア開発企業がCMMIレベル3以上といわれる企業へシステム開発を発注する上で起こしやすい問題点と対処法についてお話しします。
オフショア開発とCMMIの問題点のマインドマップ
図1:オフショア開発とCMMIの問題点のマインドマップ


CMMIレベル3/レベル5の企業といわれたのに

   アジアを中心とした海外ソフトウェア開発企業へのシステム開発発注は年々多くなってきており、もはや珍しさはなくなって、当たり前の状況になってきています。しかし、オフショア開発の活発化と比例して問題点も多くなっているようです。

   発注元である日本のSIerから「発注先企業がCMMIレベル3/レベル5を導入した企業だったから安心していたのだが、とんでもない目にあった」という話を聞くことがあります。このように大抵の場合、CMMIレベル3と聞いてしまうと、できあがるまで海外のソフトウェア開発企業におまかせの場合が多いのではないでしょうか。


発注先企業の問題点

   オフショア開発の問題は発注先企業と発注元企業のそれぞれに原因がありますが、まずは発注先企業について考えて見ましょう。

CMMIのアセスメントを受けた部門は受注した部門ではなかった
これは日本企業でもありますが、アセスメントを受けた部門以外の場合は同様にできるとは考えない方がよいでしょう。

CMMIアセスメントを受けた時の従業員数から大幅に従業員数が増加した
これは経済発展が著しい国においてはよくあることです。急に人数が多くなれば、アセスメントを受けた成熟度が保たれているかは大いに疑問です。当時はCMMIレベル3以上の成熟度を持っていたとしても、人数の増加とともにレベル1相当の成熟度になってもおかしくありません。

CMMIアセスメントを受けた時のメンバーが他部門へ異動した、または退職してしまっている
海外ではソフトウェア開発技術者の流動率は非常に高いようです。CMMIレベル3以上の成熟度に適用できるソフトウェア開発技術者であれば、他の企業も欲しい人材といえます。

表1:発注先企業の問題点

   提案書を受ける、もしくは発注を考えた時に発注先企業を調べておくことが必要です。ちょっとしたことですが非常に大切な要素です。

   また、組織としての開発標準と発注したプロジェクトへ適用した開発標準、測定項目をヒアリングしておくことも大切です。

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日本コンピューター・システム株式会社  新保 康夫
著者プロフィール
日本コンピューター・システム株式会社
新保 康夫(しんぼ やすを)

本部企画室 コンサルタント、ITコーディネータ/ITCインストラクタ、システム監査技術者、ISMS主任審査員資格。
1975年 日本コンピューター・システムに入社。システム開発に従事し、プロジェクトマネージャを経て現在、コンサルタント業務に従事する。コンポーネントベース開発やアジャイル開発にも関与する。

日本和光コンサルティング(株) 久野 茂
日本和光コンサルティング(株)
久野 茂(くの しげる)

日本和光コンサルティング(株)代表取締役副社長、ITコーディネータ。日本電気(株)、(株)日本総合研究所に勤務。現在日本和光コンサルティング(株)代表取締役副社長。
1978年徳島大学工学研究科修了、1998年電気通信大学大学院IS研究科博士課程単位取得満期退学。著書に「中国オフショア開発ガイド(共著)」コンピュータエージ社、他 多数。

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第4回:オフショア企業にとってのCMMI
オフショア開発とCMMI 〜 問題点と対処法
  発注元企業の問題点
  「定義された」と「まかせた」は大違い 〜 契約社会