TOP比較データ> 可用性、信頼性の向上
データで見るエンタープライズサーバOS市場動向
徹底比較!! エンタープライズサーバOS

第3回:エンタープライズサーバOSの機能を見る
(2)Windows Server編

著者:大神企画  富樫 純一   2005/01/14
前のページ  1  2   3  次のページ
可用性、信頼性の向上

   Windows Server 2003では、ワークグループサーバとしての機能拡張だけでなく、エンタープライズシステムのプラットフォームとしての可用性、拡張性、性能の向上も実現されている。

   たとえば、24時間365日決して止めることのできない、高可用性が求められるシステムで利用されるクラスタサービスが大幅に強化された。Windows 2000 Serverでは2または4ノードのクラスタしか構成できなかったが、Windows Server 2003では最大8ノードのクラスタまでサポートされている。クラスタがサポートするノード数が増えたことにより、たとえば地理的に離れた複数のサイトにまたがる大規模クラスタなど、災害発生に備えたシステムもWindows Serverだけで構築することが可能だ。

   また、ディスクとボリュームの管理と保守、データのバックアップと復元など、ストレージ管理機能の強化も図られている。ある特定の時点におけるファイルやデータの状態を記録し、バックアップできるスナップショット機能をOSレベルで提供する、「Volume Shadow Copy Service(VSS)」を搭載。稼働中のアプリケーションを停止したり、パフォーマンスに大きな影響を与えたりすることなく、バックアップを作成できる。またファイルサーバとして利用する場合に有効な、シャドウコピー機能を利用すると、ファイルを編集して間違えて上書きし消失したとしても、過去の正しいファイルに戻せるという機能が利用できるようになる。


Windows Serverならではのサービス

   Windows Serverでは、他のエンタープライズサーバOSでは実現が難しい、Windows Serverならではと呼べるサービスを展開することもできる。その代表的な例が、Windows Media Servicesによるストリーミングサーバである。

   ブロードバンドが普及した現在、ストリーミングによる映像の配信はエンターテインメントやビジネスの用途を問わず、急速にニーズが高まっている。UNIXやLinuxでは、リアルネットワークスの「Helix Server」など、商用のサーバアプリケーションを利用する必要がある。しかし、Windows Serverを利用すれば、追加機能や追加ライセンスなしでストリーミング配信機能を利用することが可能なのだ。これにより、今やWindows Mediaはインターネット上で配信されるストリーミングフォーマットのデファクトスタンダードになろうとしている。

   また、Windows Server 2003が稼働する高速なサーバコンピュータの能力を利用してアプリケーションを実行し、それをWebブラウザ(Internet Explorerのみだが)経由で操作できるターミナルサービスも、Windowsクライアントが主流のエンタープライズシステムでは非常に有用だ。こちらは、クライアントライセンスが必要になるものの、Windows NT 4.0など旧型のクライアントコンピュータでも実行できるので、まだまだ現役で利用できるクライアントに対する投資を抑制することも可能になる。


追加機能はFeature Packで対応

   Windows Server 2003では、当初のリリースに搭載されず、追加で提供される機能を「Feature Pack」と呼んでいる。追加機能と言っても、運用管理向けのツールからサーバアプリケーションまでさまざま。現在でも、ファイルサーバやプリントサーバとして利用されることが多いWindows Serverだが、新しいアプリケーションを購入することなく実現できるサービスの豊富さに驚かされることがある。

   Windows Server 2003のFeature Packで現在入手できるものとしては、たとえば「Windows SharePoint Services」がある。これはイントラネット向けの新しいファイルストレージと呼べるもので、ワークグループのユーザー同士が協業するためのコミュニティサイトを構築し、ドキュメントやタスク、イベントなどの情報を共有できるものである。Microsoft Office Systemの各オフィスアプリケーションからも利用することが可能だ。

   また、高い注目を集めつつあるサービスが「Windows Rights Management Services(RMS)」である。これは、機密データの配布と利用を管理・保護する技術であり、Microsoft Office SystemなどのRMS対応アプリケーションで動作する。ドキュメントやメールなどの情報に対し閲覧・編集・印刷など、利用する権利を付けることによって、情報を保護するものである。

   このほか運用管理ツールとして、マイクロソフトのOSを、ネットワークに接続されたコンピュータに自動的に展開する「Automated Deployment Services(ADS)」、Active DirectoryからWindows認証機能を省き、汎用のアプリケーションディレクトリサービスとして利用可能にした「Active Directory Application Mode(ADAM)」、グループポリシーの実装の展開・管理・トラブルシューティングをより簡単にする「グループポリシー管理コンソール(GPMC)」などがある。

グループポリシー管理コンソール
図1:Feature Packとして用意されている追加機能のひとつ
「グループポリシー管理コンソール」
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   さらに、UNIXシステムとのシームレスな相互運用を実現するサービス、UNIXからWindowsへアプリケーションを移行する場合に役立つツールなどが提供される「Services for UNIX 3.5」、IPベースのSANを構築できる「iSCSI Software Initiatorパッケージ」のような機能もFeature Packとして提供されている。

前のページ  1  2   3  次のページ


ミラクル・リナックス
著者プロフィール
有限会社大神企画  富樫 純一
代表取締役。週刊COMPUTERWORLD(IDG)編集記者を経て、月刊WINDOWS WORLDの創刊に携わる。1996年に編集長。1998年に月刊PC WORLD創刊。1999年、編集プロダクションを設立して独立。現在、幅広い執筆活動を展開。また、NHK BS「何でも解決!パソコンマガジン」にレギュラー出演するなど、テレビ・講演活動にも活躍。


INDEX
第3回:エンタープライズサーバOSの機能を見る(2)Windows Server編
  最も身近なエンタープライズサーバOS
可用性、信頼性の向上
  Windows Serverのロードマップ