もとのぶ先生
ここは、太田さんの出番かな。
太田さん
昔話になってしまいますけど、最初のsamba-jp MLは、我が家にOCNエコノミーを引いて、SS5上で処理してましたよ、全部自前で。
森君
OCNエコノミー? えすえすご? 聞いたことないなぁ。
若宮さん
森君世代は、OCNエコノミーを知りませんか…。今と違って、昔はインターネットの常時接続は今ほど高速じゃないし、非常に高額だったんですよ。SS5はSPARCstation 5というコンピュータのことですけど、コンピュータの価格だって、安く見積もっても今の10倍以上はしましたから、個人がサーバを立てるなんて、技術的にも金銭面でも大変だったはずです。太田さんのオープンソース愛を感じさせる話ですねぇ(しみじみ)。
太田さん
そんな感じだったので、投稿されてから、最後の人に配信されるまで数時間かかっていました。懐かしい話です。最近では、こうした活動に対して、団体や企業がサーバやインターネット回線を提供してくれるケースもあるので、以前よりも楽になったところもあると思います。それ以外に大変だったことといえば…。
森君
え、まだ他にも大変なことってあるんですか?
太田さん
MLだと、いろいろな人が自分でメールアドレスを登録します。登録者の中には、使えなくなったメールアドレスをそのまま放置したり、転送設定を間違えて無限ループにして気づいていない人もいる。こうした場合、エラーメールが戻ってくるけど、エラーメールの中には、サーバや回線にものすごい負荷を与えるものもあるから、きちんと設定しないと大変なことになってしまう。日本Sambaユーザ会のMLの場合は、Mailmanを使うようになってから、この辺はずいぶん改善されたと思っています。
森君
めーるまん? 「めーるまん」って何ですか?
もとのぶ先生
Mailman [ 英語,日本語 ] は、MLを管理・運用するためのソフトウェアだよ。有名なものでは、日本人の手によるfmlやMajordomoなどがある(表1参照)。
あちこちのコミュニティのMLを見ればわかるけど、国内のMLでよく見かけるのはMailmanとfmlかな。
名称 |
開発言語 |
特徴 |
Mailman |
Python |
Webインターフェースが充実している。最近は主流。 |
fml |
Perl |
日本国内で開発。ドキュメントが充実している。古くから使われている。 |
Majordomo |
Perl |
海外で古くから使われている。日本でのシェアは上記の2つより少ない。 |
ezmlm |
C |
DJB作のソフトで、同じDJB作のqmailと一緒に用いる。ちょっと癖が多い。 |
表1:ML管理ソフトウェア(メーリングリストドライバ)
もとのぶ先生
こうしたソフトウェアを動かすための環境は、ほぼLinuxをはじめとするUNIX系のOSになる。というのは、メールを送信するためのMTA(メール配送エージェント)が対応しているOSがUNIX系OSに多いからなんだけど。
ML管理ソフトウェアでは、メールが投稿されると、サブジェクトにMLの名前や番号を追加したり、宛先などの情報をメールヘッダに修正・追加した後でMTAへ渡してメールを配信する。こうした加工が容易にできることもあり、Mailman、fmlなどのML管理ソフトウェアは、PythonやPerlなどで書かれている。
で、どのML管理ソフトウェアを選ぶか、なんだけど、それぞれに大きな特徴がある。Mailmanの場合、MLへの登録や解除、アーカイブの閲覧がWebブラウザからできるから、初心者にも優しいといえるかな?
一方、fmlは決められたのメールアドレスに、コマンドを送ると、登録、解除、ヘルプやアーカイブの入手などができるなど、必要な作業がメールだけで完結している。それぞれによさがあるよね。
太田さん
管理する立場からいえば、fmlは高機能でさまざまな設定ができるけど、設定項目を知らなければ大変なことになってしまうときがあると思います。私の場合は、さきほども少し話したエラーメールの処理で苦労していたのですが、Mailmanに変えてずいぶん楽になっています。
森君
ふーん…。MLの運営ひとつでも、表からは見えない苦労があるんですね。でも、そんなことして、何か得することってあるんですか?
小田切さん
森君、活発にコミュニティ活動をしている人の多くは、自分が得するためだけにやっているわけではないと思うよ。「ただ、純粋に好きだから、面白いから、魅力的だから」っていう気持ちが、その人の活動意欲を支えていることが多いんじゃないかな。コミュニティ活動の結果によって、日常業務にプラスになることがあったり、将来の業務に役立つかもしれない。仮に業務と直接関係なかったとしても、人脈ができたり、問題解決のための応用力がついたり、誰かのために貢献できることもあるし、コミュニティ活動がきっかけで、転職したり起業するケースだってあるんだよ。MLに答えるのだって、それと同じことだよ。
金子さん
そうねぇ、あと最近では、MLと平行してWeb上での議論だったり、IMを使っているケースもあるわね。もし、森君がオープンソースの開発に関わりたいなら、もうちょっと英語を勉強して、本家のMLに参加っていうのもありなのよ。頑張れば、すとーるまんさまと、MLでやりとりできるチャンスだって、十分にあるんだから!
太田さん
あ、こんな時間だ。金子さん、すみません。私、実は「ニューイヤーコンサート」が観たいんですけど…。
金子さん
えーっ! これから、チャンネルFSFで、すとーるまんさまの新年の挨拶があるから、テレビは絶対にそっち!
太田さん
しくしく、そんなもの正月から観たくありません。私、帰ります…。
美香さん
あのー、地下室のスクリーンでよければ、そっちで見られますけど…。
青井部長・太田さん・小田切さん・若宮さん・もとのぶ先生
そっち行きまーす!
森君
う、う、う、タイミングはずしたぁ。
金子さん
じゃあ、森君はわたしと一緒にすとーるまんさまねっ!
森君
わー!太田さーん、小田切さーん、たすけてー。
(謝辞) 今回の記事は、日本Sambaユーザ会の太田俊哉さん、小田切耕司さんのご協力をいただいて作成しました。この場をお借りして、御礼申し上げます。
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