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第4回:必要な人材はどこにいる?企業のコンピテンス管理と人材の検索

著者:日本アイ・ビー・エム  藤 泉也   2007/2/6
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有能なスタッフの足跡を追う

   それではこれらの多種多様な情報群をどのように可視化していけばよいのだろうか。

   前回までの連載でも説明したが、EMIソリューションでは情報の物理的な集約ではなく利用者および発信者の視点に立って仮想的な統合を目指す。特にコンピテンス管理のようなケースでは、情報の格納場所を「あえて」現行の状態に保ち、スキルデータベースのような新たなデータベースやアプリケーションの開発を行うことはない。

   ここで「あえて」といったのには理由がある。

   個人の活動の足跡というのは文書ファイルなどの成果物を含め、集中管理型の全社サーバよりもむしろ個別に管理されている部門サーバに残されることが多い。また部門間異動などにより同じ従業員に関する情報が複数の部門サーバに点在していることもあるだろう。このような状態で社員番号や氏名から過去の所属部門、参加プロジェクトを追跡してデータを集約することは不可能に近い。

   またビジネスインテリジェンスツール(BIツール)によって作成された営業成績や稼働率の分析レポートもその時点で所属していた部門で作成されているため、従業員の業務パフォーマンスを判断材料とする場合には、複数箇所に置かれている複数レポートを収集する必要がある。

   このように複数の異なる種類のデータが社内に散在するような状態において、もっとも力を発揮するのが本連載において説明を重ねてきた検索エンジン「IBM DB2 OmniFind(以下、OmniFind)」である。

   クローリング(データ収集)の対象を、全社サーバに加え末端の部門サーバにまで広げれば、すべての情報から社員番号や氏名を含む索引を生成することができる。OmniFindは社員番号や性別、様々な表記形式を持つ氏名などの「従業員の属性」を組み合わせた柔軟な表現で検索を実行することが可能なため、目的の情報を取得することができる。

   最近では暗黙知にあたる定量化・定性化の難しい情報に関しても、社内ブログやコミュニケーションツールのログなどを抽出することで、ある程度の情報を取得することができるようになった。もちろんOmniFindではこうした形式のデータも検索の対象にすることが可能だ。

   OminiFindでは、以下のような人材に関する情報検索を行うことが可能だ。

  1. シングルサインオンでアクセス権のある情報に一度にログイン
  2. シングルキーまたは複合キー(従業員名など)で関連情報をヒットリストとして表示
  3. 既存の人事管理システムとの連携

表2:OminiFindによる情報検索

   図1にOmniFindによる人材探しにあたって必要になる情報の検索イメージを示す。

従業員情報の検索
図1:従業員情報の検索
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


個人情報の漏洩や不正行為の抑止

   従業員に関する情報は単純な可視化を行えばよいという性質のものではなく、顧客情報に次いで高いセキュリティの確保が要求される。個人に属する情報だけにこれらが正しく保護されてはじめて従業員は安心してその企業/職場で培った能力を発揮することができるのである。

   具体的には、誰がいつ従業員のデータにアクセスしたのか、またアクセスしようとしたのかをいつでも追跡できる仕組みが必要だろう。加えて、多くの格納場所から情報を横串で抽出するには各サーバの権限やロールと連携し、整合性を保つことが可能なシングルサインオン環境が必須となる。

   前述したような情報共有/開示を実現する「OmniFind」「DB2 Content Manager」は、全社的な権限管理やアクセスログ解析機能との統合が容易になっている。またIBM製品ラインナップであれば、このような認証統合基盤も含めたトータルソリューションを提案することができる。

   なお、セキュリティやコンプライアンス遵守の留意事項とその対策の詳細については以降の連載にて改めて解説する。


価値ある人材を探し出すために

   すでにお気づきの方もいるだろうが、今回取り上げたコンピテンス管理は情報活用の適用分野の中でもっとも広範囲に情報を取り扱わなければならない領域である。情報量の多さや格納形式の複雑さから物理的な統合に限界のあるこの領域においてこそEMIソリューションの価値が発揮される。

   さらに一歩進んで、人材検索の手段としてだけでなく、情報の検索頻度から魅力ある人材を特定する、または企業にとって価値ある人材を育成している組織を調査する手段として活用するのも1つのアイデアである。

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日本アイ・ビー・エム株式会社  藤 泉也
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  藤 泉也
1999年、日本アイ・ビー・エムに入社。損害保険会社のシステムインテグレーション、ERPソリューションのセールス・テクニカルサポート担当を経て、2005年からビジネスインテリジェンス、情報共有基盤に関するソリューション提案と技術支援を推進している。活動を通じて企業内情報の「メタボリック症候群」が確実に進行していることを実感。経営イノベーション グローバルISVソリューションズ所属。


INDEX
第3回:品質管理は製造業のアキレス腱!情報活用で迅速化・効率化を目指す
  企業の組織作り、人材探しに必要な判断材料とは
  人材探しに必要な情報
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