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Hinemos
運用管理ツール「Hinemos」完全利用ガイド

第2回:Hinemosを利用した運用管理はこうなる!

著者:NTTデータ  大上 貴充   2006/12/11
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複数ノードに一気にジョブ投入

   では、前述したサンプルジョブをHinemosで作成し、実行する方法を紹介します。Hinemosのジョブ設定は以下の手順で行います。
  1. ジョブ実行対象ノードをリポジトリに登録
  2. ジョブユニットを作成
  3. ジョブネットを作成
  4. ジョブを作成

表4:サンプルジョブの設定手順


ステップ1:ジョブ実行対象ノードをリポジトリに登録

   今回は3つのノード(APSERVER1、APSERVER2、APSERVER3)で同じジョブを実行するため、これら3つのノードをまとめて扱うためのスコープを作成します。今回定義したスコープを図3に示します。

スコープツリー
図3:スコープツリー

   「APサーバ」というスコープには3つのアプリケーションサーバが、「DBサーバ」というスコープにはデータベースサーバがグルーピングされています。なお、「APサーバ」と「DBサーバ」の両スコープは「業務システム」というスコープに所属しています。


ステップ2:ジョブユニットを作成

   ジョブを作成する際に、最上位要素として「ジョブユニット」を作成する必要があります。ジョブネットはジョブやジョブネットから構成されますが、ジョブユニットはその最上位のジョブネットと考えてください。ここでは、「日時処理ジョブユニット」を最上位要素として設定します。

   ジョブユニットを作成したら、「終了状態」と「通知先の指定」を設定します。

   「終了状態」は、ジョブユニットに含まれるジョブネットやジョブの終了値の範囲を指定することで、ジョブの終了状態(正常、警告、異常)を設定することができます。

   「通知先の指定」では通知設定(図5の通知ID)を指定することで、ジョブユニットが開始/終了したことを通知することができます。終了時の通知は、終了状態(正常、警告、異常)ごとに通知の重要度を指定することが可能です。

ジョブユニットの設定
図4:ジョブユニットの設定
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   通知の設定でメールを送信するように設定しておけば、ジョブユニットを開始した時点、終了した時点で管理者にメールを送信します。今回の例では、警告もしくは異常が発生した場合にメール通知するように設定します。

通知設定
図5:通知設定
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


ステップ3:ジョブネットを作成

   ジョブユニットと同様「終了状態」と「通知先の指定」を設定します。

   ジョブネットの設定では、待ち条件の設定が可能となりますが、このサンプルジョブネットでは、先行するジョブネットを指定する必要がないため定義しません。


ステップ4:ジョブを作成

   このサンプルジョブネットでは、以下の3つのジョブを作成します。

  • AP起動ジョブ
  • AP停止ジョブ
  • DBバックアップジョブ

表5:作成するジョブ

   まず、「AP起動ジョブ」を作成します。「AP起動ジョブ」は「日次処理ジョブユニット」直下に作成します。実行対象のスコープとして「APサーバ」スコープを指定(図6の1)することにより「APサーバ」に含まれる3つのノードでジョブが実行されます。続いてジョブの実体として起動されるコマンド(スクリプト)を指定します(図6の2)。

起動コマンド
ジョブの「実行」が実施された場合に呼ばれるコマンド(スクリプト)を設定します。


停止コマンド
ジョブ制御として「コマンド停止」が実施された際に呼ばれるコマンド(スクリプト)です。GUI上からの手動操作でジョブを停止する場合に実行されます。


実効ユーザ
上記コマンドを実行するOSユーザを設定します。


表6:起動コマンド(スクリプト)

   起動コマンドの戻り値が、0の場合は正常、1〜99の場合は警告、それ以外の場合は異常として設定します(図6の3)。

   待ち条件として、先行ジョブを「DBバックアップジョブネット」とし、先行ジョブが正常終了した場合のみ起動するように設定します。先行ジョブが正常に終了しなかった場合は、ジョブは起動されずに待機状態となります(図6の4)。

   通知設定として、ジョブが異常終了した場合にイベント通知し、管理者にメール通知するように設定します(図6の5)。

ジョブの作成
図6:ジョブの作成
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   次に、「APサーバ停止ジョブ」を作成します。このジョブは「DBバックアップジョブネット」内に作成します。実行対象のスコープとして、「APサーバ」スコープを指定します。ジョブが異常終了した場合にイベント通知するように設定します。

   最後に「DBバックアップジョブ」を「DBバックアップジョブネット」内に作成します。実行対象のスコープとして、「DBサーバ」スコープを指定します。待ち条件として、先行ジョブを「APサーバ停止」ジョブとし、先行ジョブが正常終了した場合のみ起動するように設定します。ジョブが異常終了した場合にイベント通知するように設定します。

   以上でサンプルジョブネットは完成ですので早速実行してみましょう。ジョブネット(ジョブ)を手動で即時実行するには、ジョブ管理画面上で実行対象のジョブネット(ジョブ)を選択し、「実行」ボタンを押します。ジョブの実行状況はGUI上から確認することができます。図7はサンプルジョブネットの「DBバックアップジョブ」を実行中のスナップショットです。

ジョブ実行状況の確認
図7:ジョブ実行状況の確認
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

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株式会社NTTデータ  大上 貴充
著者プロフィール
株式会社NTTデータ  大上 貴充
基盤システム事業本部 オープンソース開発センタ
2004年よりOSSを用いたシステム構築、運用管理ツールの研究開発に従事。現在はHinemosの開発メンバとして、より一層の機能充実、品質向上とコミュニティの創造を目指して活動中。


INDEX
第2回:Hinemosを利用した運用管理はこうなる!
  はじめに
複数ノードに一気にジョブ投入
  計画的なジョブ実行