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Linuxディストリビューション比較

第3回:SUSE Linux

著者:市民電子情報網  安田 幸弘   2006/11/8
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管理ツール

   SUSE LINUXの特徴の1つとして、最初に述べた「YaST」と呼ばれるGUIの設定・管理ツールの存在がある。「難しい」といわれていたLinuxのシステム管理を誰にでも間違いなく実行できるようにしたことから、YaSTを備えたSUSE LINUXは「一番使いやすいディストリビューション」という評価を勝ち取った。
YaST2コントロールセンター
図3:YaST2コントロールセンター
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   最近は他のディストリビューションもGUIの管理ツールで様々な設定ができるようになっているが、現在でもSUSE LINUXのYaSTには一日の長がある。

   YaSTは、様々なモジュールの組み合せでシステムの設定や管理、アップデートなどを行うが、最新のバージョン10ではさらに「ZENworks Linux Management Client」と呼ばれる管理ツールとNovell Customer Centerへのアクセスモジュールが追加されている。

   ZENworks Linux Managementは大規模なネットワークの集中管理のためのソフトウェアで、Novell Customer CenterはRed Hat Enterprise LinuxのRed Hat Networkに相当するサービスだ。YaSTとZENworks Linux Management、Novell Customer Centerの組み合せは複雑なシステムの管理をスマートに解決してくれる。


サポート

   SUSE Enterprise Linuxは企業向けのサポートにも力を入れている。特にサーバ版は、Red Hat Enterprise Linuxと同等のサポート契約により、アップデータやサポートが提供される。

   ディストリビューションのサポート期間は最長7年で、サポート内容によってスタンダードとプライオリティの2種類を提供するなど、Red Hat Enterprise Linuxのサポート体系とよく似ている。

   また、デスクトップ版を利用する場合に、初期のインストール時の支援やアップデータの提供に限定した安価なサポートが用意されている点は、個人ユーザには嬉しいポイントだ。

   なおSUSE LINUXは、セキュリティの警告が公表されてからアップデータが提供されるまでのタイムラグは比較的短い方だが、それでもRed Hat Enterprise Linuxより1週間ほど余計に時間がかかる傾向にある。

   現時点では、バージョン10のドキュメント類はまだ日本語の整備が進んでいない。バージョン9までは詳しいドキュメントが提供されていたことから考えると、近いバージョン10でも将来、日本語のドキュメントが入手できるようになると考えられる。


その他

   日本では「Linux」といえばRed Hat系のディストリビューションがほとんどで、残念ながらSUSE LINUXのユーザは少ない。ようやく最近インターネットでもSUSE LINUXに関する日本語の情報が入手できるようになってきたものの、Red Hat系に比べると入手しにくい傾向にある。

   日本での歴史が浅い割に、日本語の表示や入力、処理に関しては十分なレベルを備えている。日本語フォントの問題も含め、Red Hat Enterprise Linuxと同等の日本語環境を得られると考えてよいだろう。

   親会社のNovellがネットワークOSのベンダーのためか、他のOSが混在したネットワーク環境での相互運用の面での対応がなされている。デスクトップ版では各種ネットワークサーバへ接続するためのクライアントが用意されている。

   なお、サーバ版/デスクトップ版ともに60日間有効の試用版が用意されている。


次回は

   次回は、MIRACLE LINUXの特徴を見ていこう。

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株式会社市民電子情報網 安田 幸弘
著者プロフィール
株式会社市民電子情報網  安田 幸弘
取締役。主にオープンソースソフトウェアを使用した非営利組織向けのネットワークサービスの提供やサーバの運用/管理を行うとともに、フリーの技術ライターとしてインターネット、サーバ管理などに関して書籍や雑誌記事を執筆している。


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