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Office&XML
CMSの可能性を飛躍させるOfficeXMLの適用

第3回:Office XMLを利用したドキュメントソリューションの可能性

著者:インディゴ  高橋 陽一   2006/9/27
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DocuDyneの基本機能 〜 検索性向上と管理負荷軽減

   DocuDyneの基本機能について、まずはWordでのドキュメントの作成からDocuDyneへの登録方法について説明することとしたい。
ドキュメントの作成から登録まで

   まず、DocuDyneに登録可能なファイルは先述のWord 2003から出力可能となったWordML形式のファイルに限定される。このように述べると、過去のdoc形式のファイルは管理対象外になるのかという疑問が生じるかもしれないが、Word 2003では過去のdoc形式のファイルについてもWordMLに変換可能であり、doc形式の既存ファイルについても一括処理もしくは都度ファイル形式変換を行えばDocuDyneへの登録は問題なく行える。

   また、ドキュメントに「階層型の意味構造」を付与する「構造化」については、Wordの書式スタイル(アウトラインレベル)を用いた簡易的な構造化から、カスタムスキーマ適用による厳密な構造化、特に「構造化」を行わないプレーンなテクストまでに柔軟に対応可能となっている。そのため、初期段階では書式スタイル(アウトラインレベル)による簡易的な構造化を行い、段階的に厳密な構造化を行ってゆくなど、業務要件や運用環境に応じた柔軟かつ段階的な導入および運用が可能となる。

   次に、DocuDyneへの登録方法については、一般的な「ファイル共有」の操作感を踏襲し、専用の共有フォルダ上にWordMLファイルを保存するという操作のみで完了する。ただし、DocuDyneでは従来の「ファイル共有」とは異なり、登録されたWordMLファイルを瞬時に解析し、意味構造の抽出とファイルのプロパティ情報(メタ情報)の抽出を行い、ドキュメント本体と各種解析情報をデータベースへ格納するという処理を裏側では行っている。

   なお、この意味構造とファイルのプロパティ情報は検索項目として利用することができるため、見かけ上ではファイル作成における「Wordの操作感」と、その登録管理における「ファイル共有の操作感」を踏襲しつつ、ドキュメントの検索性を向上するための仕掛けが実は裏側で動いているという設計になっているところが、その「コンセプトの新しさ」となっている。


ドキュメントの検索〜全文検索とプロパティ検索

   DocuDyneの専用共有フォルダに登録されたWordMLは、Internet ExplorerなどのWebブラウザで利用可能なDocuDyneのWebアプリケーションを通して、各種検索ならびに内容の参照を行うことが可能である。なお、DocuDyneではWordML登録時に自動的にWordからHTMLへのプレビュー変換処理を行っている。そのため各種検索結果、ならびにドキュメントの参照に際しては、WebブラウザでWordMLをWordとほぼ同じ見栄えにて直接内容をプレビュー/閲覧することが可能となっている。

   さて、本題の検索機能であるが、DocuDyneでは主に2種類の検索機能を提供している。1つは、ファイル登録時に抽出したWordMLファイルのプロパティ情報(メタ情報)を用いた検索機能である。このプロパティ検索は、ファイルの属性情報から検索することができる機能であり、「いつ頃、誰が作った、どのようなカテゴリのドキュメントを探したい」といったニーズに簡単に応えることができる。

   さらに、図1に示した全文検索機能では、通常の単純なキーワード検索とは異なり、Word上で定義したドキュメントの意味構造に即し、ピンポイントでの検索が可能になっている点が特長的である。これは例えば、書式スタイル(アウトラインレベル)を用いた簡易構造ドキュメントであれば、キーワード検索の対象を「全文」ではなく「大見出し、中見出し、小見出し、本文」といった見出しレベルで絞り込むことが可能となることを意味する。

DocuDyneでの全文検索
図1:DocuDyneでの全文検索
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


新旧対照表の作成 〜 版管理および差分管理の自動化

   DocuDyneでは先述のように、昨今のコンプライアンス・内部統制のための文書化の重要性を鑑み、版管理および差分管理機能(新旧対照表自動生成)を提供している。これは図2に示すように、改版履歴の自動管理ならびに、任意の版の間での差分比較(新旧対照表)が自動的に行えるという機能である。

DocuDyneの版管理/改定履歴管理
図2:DocuDyneの版管理/改定履歴管理
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   特にこの「新旧対照表」は、従来は「目視確認+手作業」で作成していることが多く、その作業の煩雑さ、作業負荷の高さからドキュメントの管理工数を増大させる一因となっていた。DocuDyneではこの「新旧対照表」をWeb画面上ならびにExcelファイルにて自動生成することが可能となっており、版管理および差分管理の効率を大幅に向上することが可能となっている。

   また、DocuDyneではこの他にも、DTP自動組版・印刷とのシームレスな連携、あるいはWebコンテンツへの変換・連携など、従来からXMLの特性として掲げられている「ワンソース・マルチユース」についても、XMLデータベースNeoCoreXMSを使うことでWordMLから他メディアへの連携等も実現可能である。

   以上、DocuDyneの基本機能とその特長を説明してきたが、次ページでは現在開発中の次期バージョン(Office 2007対応版)について簡単に説明してみたい。

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インディゴ株式会社 高橋 陽一
著者プロフィール
インディゴ株式会社  高橋 陽一
システム・インテグレーション事業部 ソリューション開発部 マネージャー/インフォメーション・アーキテクト

XML及びセマンティック系技術を活用した次世代コンテンツ管理ソリューションの企画/開発に従事。現在は、「Microsoft Office」とXMLデータベース:NeoCoreXMSの連携によるECMソリューション「DocuDyne」のプロダクトマネージャーとして、「ドキュメントの部品化」による次世代のコンテンツ・マネージメント・システムの普及/啓蒙に取り組んでいる。また上記と並行して、XMLベースの画像記述言語SVGとセマンティック技術を活用した「次世代位置情報ソリューション」の企画/開発にも取り組んでいる。


INDEX
第3回:Office XMLを利用したドキュメントソリューションの可能性
  はじめに
DocuDyneの基本機能 〜 検索性向上と管理負荷軽減
  ドキュメントの部品化で文書管理が変わる