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Office&XML
CMSの可能性を飛躍させるOfficeXMLの適用

第3回:Office XMLを利用したドキュメントソリューションの可能性

著者:インディゴ  高橋 陽一   2006/9/27
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はじめに

   「第1回:ドキュメント管理が変わる〜Office2007がもたらす変化〜」では、「the 2007 Microsoft Office system(Office 2007)」にて提供される「Open XML Formats(Office XML)」がドキュメント管理をどのように変えるのか、その可能性を検証した。「第2回:Office XMLドキュメントをデータベースで管理する」ではOfficeXMLを格納するに適したデータベースとしてXMLデータベースの有用性を検証した。

   最終回の今回は、OfficeXMLとXMLデータベースを組み合わせたドキュメントソリューションの例として、Document to Databaseソリューション「DocuDyne」を題材に、Office XMLを利用したドキュメントソリューションの可能性について探ってゆきたい。

DocuDyneのコンセプト 〜 Re-Value Your Document

   使い慣れたドキュメント作成環境(Microsoft Word)を前提にしつつ、その管理にデータベースを活用することで「検索性と再利用性」を飛躍的に向上させることができないだろうか。実は「DocuDyne」企画開発の発端には、このような問題意識がありました。情報共有・活用というキーワードに対して、従来の情報システム的な解決策では、各種の「フォームアプリケーション」を利用する、あるいは「ファイル共有アプリケーション」を利用するという、究極的には2択の選択肢しか存在しないのがそれまでの状況であった。

   しかし、「ファイル共有」には第1回で説明したような検索性の問題が、「フォームアプリケーション」には第2回で説明したような情報入力の操作性に各々問題があり、なかなか現実的なソリューションが成立しにくかったのが、従来のドキュメント管理の分野の課題であった。

   しかし、Microsoft Office 2003からWordがXML(WordML)に対応し、またドキュメントを格納するデータベース側でもNeoCoreXMSという第2世代のネィティブXMLデータベースが登場したことにより状況が変わった。つまり、ドキュメントの検索性と再利用性向上に不可欠な「階層型の意味構造」を有するXMLドキュメントを、使い慣れたWordにより「技術的な詳細」を意識することなく作成することが可能になり、さらにNeoCoreXMSを利用することで、Word 2003が生成する様々な構造レベル(厳密〜緩やか)のWordMLを「そのまま格納」し、一元管理することが可能になったのである。

   筆者らは上述のWordMLとNeoCoreXMSを組み合わせることで、従来のドキュメント管理の問題を解決できるものと考え、ドキュメントをデータベースで管理・再利用することで「Re-Value Your Document」を実現する「Document to Database」という新しいソリューション・コンセプトを打ち出し、DocuDyneというアプリケーションを開発した。

   DocuDyneはDocument to Databaseソリューションにおいて、特にWord文書にフォーカスした文書管理ソリューションであり、WordMLを利用し「ドキュメントに構造を与える」ことで、ドキュメントをデータとスタイルに完全に分離。データ部分はデータベースによる一元管理により検索性および再利用性の向上を実現。さらに、昨今のコンプライアンス・内部統制のための文書化の重要性を鑑み、版管理および差分管理機能(新旧対照表自動生成)を提供している。

   また、データとスタイルの分離により、文書の作成・編集は使い慣れたWordで行いながらも、HTML/PDF/DTPなどの自動組版と連携可能なため、WordベースのCMSエンジンとして「ワンソース・マルチユース」を容易に実現可能である。なお、その際の「構造化」も、Wordの書式スタイル(アウトラインレベル)による簡易的な構造化レベルから、カスタムスキーマ適用による厳密な構造化まで、用途に応じた柔軟な導入が可能なため、顧客の業務用途、運用環境に応じた柔軟な展開が可能である。

   そこで、以降では「DocuDyne」の各種機能、ならびにその特長について順次紹介してゆくこととする。

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インディゴ株式会社 高橋 陽一
著者プロフィール
インディゴ株式会社  高橋 陽一
システム・インテグレーション事業部 ソリューション開発部 マネージャー/インフォメーション・アーキテクト

XML及びセマンティック系技術を活用した次世代コンテンツ管理ソリューションの企画/開発に従事。現在は、「Microsoft Office」とXMLデータベース:NeoCoreXMSの連携によるECMソリューション「DocuDyne」のプロダクトマネージャーとして、「ドキュメントの部品化」による次世代のコンテンツ・マネージメント・システムの普及/啓蒙に取り組んでいる。また上記と並行して、XMLベースの画像記述言語SVGとセマンティック技術を活用した「次世代位置情報ソリューション」の企画/開発にも取り組んでいる。


INDEX
第3回:Office XMLを利用したドキュメントソリューションの可能性
はじめに
  DocuDyneの基本機能 〜 検索性向上と管理負荷軽減
  ドキュメントの部品化で文書管理が変わる