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今こそ再考するアジャイル開発
第5回:プロジェクトマネジメントに活かす
著者:
日本コンピューター・システム 新保 康夫
アッズーリ 濱 勝巳
2006/10/10
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この方法はプロジェクトに使える
次に、表1にあげたXPの方法をどのように活用するかをそれぞれについて解説することにしましょう。
ストーリーカード 〜カルタ取りで要件整理
プロジェクトマネジメントにおいて、システム開発の要求管理がしっかりできていることは大切です。しかし現実ではすんなりと管理できるものではありません。最初の要件整理からなかなかうまくいかないものです。
そこで、ストーリーカードを使って、要件を1件ごとに書いて顧客/ユーザと整理してみましょう。
ストーリーカードってたいそうなものはではありません。名刺サイズの大きさの白紙の紙を用意すれば良いのです。短文で1枚に1要件を書くという決まりごとさえあれば良いのです。
例えば、「Webで商品の一覧が見えるようにしたい」という要件があれば、ストーリーカードに書いてみましょう。
図2:最初のストーリーカードの例
これから、誰が、いつ、どこで、どのようになどを明確にします。
図3:ストーリーカードの例
このように、1つの要件が正確になることにより、何を作らなければならないかも明確になります。
そして、これらの要件を机の上やホワイトボートに貼付けて、本当に必要なものから順番をつけて、並べ替えをします。ちょうどカルタ取りのような格好になります。これにより、顧客/ユーザ/開発者の全員が必要とされる要件の確認と確定をすることができます。
また、要件変更があった場合、そのカードのどの順番に当たるかを顧客/ユーザ/開発者で打ち合わすことにより、どの程度必要なものかを全員が理解することができます。
タスクカード 〜WBS/見積/生産性を知る
プロジェクトにおいて、ひとりひとりが自分のWBS(Work Breakdown Structure)や生産性を知ることは非常に大切なことになります。プロジェクトは日々変化していきます。そのとき自分自身の作業と生産性を正しく把握し、将来の見積を今の実績で行うことができれば、プロジェクトへの悪影響をださないようにでき、他のメンバーの進捗遅れに対してどの程度カバーできるかもつかめます。
タスクカードはそれを行うのに便利なカードです。タスクカードの1枚を1週間から2週間程度のタスクにして、その中をメンバー自身が時間ないし日単位で分けて、見積し、実績を書くことにより、精度の高い作業時間になります。
※注2:
最初はリスクを見るため、積み重ねると大きな時間になりますが、タスクカードに実績を入れることにより差異が少なくなっていきます。
図4:タスクカードの例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
特に、若手のメンバーに対してはタスクカードを書かせることにより、「WBSとは何か」と「見積るということは」を理解させることができます。また、進捗管理もカード単位で行えるため、未着手のタスクカード/着手中のタスクカード/完了のタスクカードに分けて管理できるので「見える化」された管理になるでしょう。
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著者プロフィール
日本コンピューター・システム株式会社
新保 康夫(しんぼ やすを)
本部企画室 コンサルタント、ITコーディネータ/ITCインストラクタ、システム監査技術者。
1975年 日本コンピューター・システムに入社。システム開発に従事し、プロジェクトマネージャを経て現在、コンサルタント業務に従事する。コンポーネントベース開発やアジャイル開発にも関与する。
「ソフトウェアプロセスレベルを向上させるCMMI活用術〜ソフトウェア開発の品格」をThinkITにて掲載。
有限会社アッズーリ
濱 勝巳(はま かつみ)
(有)アッズーリ 取締役社長。メーカ系ソフトウェア会社でファームウェアのプログラマを経て、フリーのエンジニアとして独立し、1999年に有限会社アッズーリを設立。オブジェクト指向、アジャイルプロセスを利用したエンタープライズアプリケーションを開発に従事し、現在は経営やプロジェクトマネジメントの視点でアジャイルプロセスを見つめ、情報システムベンダのあるべき姿を追求している。2003年よりアジャイルプロセス協議会副会長。
INDEX
第5回:プロジェクトマネジメントに活かす
エクストリーム・プログラミングに学ぶ
この方法はプロジェクトに使える
ペアプログラミング 〜トラブルプロジェクトへの対策