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ユーザ企業によるRFP作成奮闘記
ユーザ企業によるRFP作成奮闘記

第3回:システム導入までの道のり〜そして現在
著者:日本軽種馬登録協会   羽部 勉   2006/7/20
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キックオフからあっという間に正式オープン

   落札企業が決まったのは12月の半ばも過ぎた頃であった。システムの稼動予定は4月末であり、年末年始を考慮すると実質4ヶ月もなかった。

   はじめにホスティングサービスの利用先を決めることにした。RFPにはホスティングサービスの提案も記載していたが、最終的には当協会が指定したホスティングサービスを利用することを明記していた。より安く必要なサービスの提供が受けられるホスティング先を落札企業とともに探して、当初の提案とは異なるホスティングサービスを利用するにいたった。

   ホスティング先も決まり、いよいよ本格的な開発に入る。正式オープンまでは、落札企業と週1回の進捗定例会を持ち、ハイペースで開発を進めていった。

   機能的には難しい部分はあまりなかったが、長年書籍での出版を行ってきたため、画面の表示方法や文言、メニュー構成などのデザイン的な部分でかなりこだわりがあり、たびたび手直しを依頼したため、当初の予定よりは少し遅れたが、2005年5月25日無事正式オープンを迎えることができた。


苦労した日本語文字移行

   開発段階で苦労したのが日本語の文字コードの問題であった。当協会の基幹システムであるオフィスコンピュータの文字コードは富士通のJEFコードであるが、Webサイトで用いる文字コードはEUCを想定していた。

   JEFコードからEUCコードへ変換を行う際、基幹システムを直接インターネット環境へ接続することはセキュリティ上の不安があり、間に転送用のサーバを介することとしていた。この転送用のサーバは落札企業をはじめ、他の提案依頼企業もWindowsを提案していた。

   しかしこの転送用サーバについても5年先にハード機器を入れ替えた場合を考え、ハード機器とOSへの依存が少なく長期に渡って安定して利用できるオープンソースのLinuxによるシステムとしたかった。ここでも落札企業に骨を折ってもらい、オープンソースによるJEFからEUCの変換ツールを探し出した。

   ここでさらなる問題が発生した。同じ漢字におけるJEFとEUCでの表現方法の違い(第一、第二水準間の交換、字体変更)である。同じ漢字であっても、JEFは旧字体で表現されているのに対して、EUCに変換後には新字体に置き換わってしまうものが多々あったのである。

   生産者の名前や昔の漢字の馬名などは新字体・旧字体を正しく表現する必要があり、どうするか思案した。今回は基幹システム側データベースで使用されている漢字2,500字余りをピックアップして、そのすべてについてJEFからEUCの変換後に異なる字体に置き換えられていないかを人が確認する手法を選択した。

   職員数人で手分けして作業をしたが、それでも数日かかる作業であった。こうしてピックアップされた文字についてはWebサイト側で対応を行い、意図する字体で表現することができた。

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財団法人 日本軽種馬登録協会
「軽種馬の登録を行い、軽種馬の改良増殖及び資源の涵養並びに競馬の公正な施行に資すること」を目的に設立され、各馬の血統調査、個体識別、科学的技法による親子判定を行い登録しています。登録された馬にはそれぞれの登録証明書が交付され、様々な場所で個体の確認に活用され、競馬の公正な施行や血統の保持に役立っています。

インターネット血統書データベースサービス(フルオープンソースのシステム)
馬名、輸入馬、繁殖成績、血統登録、五代血統表等の最新の公式情報を提供。保有するデータベースは70万件を超え、毎年約3万件が追加されています。
URL:http://www.studbook.jp/

日本軽種馬登録協会  羽部 勉氏
著者プロフィール
財団法人 日本軽種馬登録協会   羽部 勉
情報システム部
1999年入会。協会内での電算システムの運用・管理、関係団体とのデータ交換、WWWサービスの管理などに従事。インターネット血統書データベースサービスの調達に携わり、現在はその運用と次のサービス改善の開発管理を担当している。また当協会が保有する軽種馬データベースの有効活用の一環として、ユビキタス技術を利用した新たな情報提供サービスの調査・研究にも取り組んでいる。


INDEX
第3回:システム導入までの道のり〜そして現在
  ベンダー選定、その選定基準
キックオフからあっという間に正式オープン
  インターネット血統書データベースサービスの現在の状況