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システム作りのもやっと感を解消する「MOYA」

第5回:MOYAのまとめとこれから

著者:NTTデータ  平岡 正寿   2007/11/13
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MOYAによる分析の流れ

   「第2回:MOYAで行う分析領域定義」で説明した分析領域定義と「第3回:MOYAで行うステークホルダ分析」で説明したステークホルダ分析、さらに「第4回:ゴールモデルでゴールを可視化」で説明した課題分析の関係について、まず説明します(図1)。
それぞれの関係
図1:それぞれの関係
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   図1の青い矢印によって示されたタスクによって、利害関係者それぞれの問題状況に共通して横たわる価値観/想いをみつけだし、そこに成立する「プロジェクトの目的」を共有することになります。しかし実際にはこれらのタスクが直線的に行われることはなく、またそれぞれのタスクが1度だけ実施されただけで終わることもありません。

   このタスクは以下の表2のような形でサイクリックに何度も何度も行われます。

  1. まず分析領域定義によってプロジェクトの目的を認識し、
  2. ステークホルダ分析によって利害関係者の想いを共有しつつ、
  3. 彼らの想いを課題分析でより深く理解・確認すると同時に、
  4. その想いをリッチピクチャにフィードバックしながら、
  5. ステークホルダの中でディスカッションを実施し、お互いの理解を深め、
  6. 分析領域定義を見直していく…

表2:タスクの繰り返し

   そうして少しずつ正しい方向に進んでいき、利害関係者の間で以下のような状況が生みだされ、プロジェクトの目的が共有できたとき、ようやく次のタスクに移る事ができます(表3)。

  • 利害関係者の全員が自分たちの課題や状況を理解・共有できたと感じられたとき
  • それぞれの問題状況に共通する想い/価値観を感じる事ができるプロジェクト目的に合意できたとき

表3:次のタスクへ移る瞬間

   次のタスクとは「第4回:ゴールモデルでゴールを可視化」で説明したゴール分析です。

   ここでは前タスクの成果を以下のような形で利用しながら、顧客を含めた利害関係者とともに徹底的にワークショップ形式を行い、ゴールモデルを組み立てて要求を構造化していきます(表4)。

  • 分析領域定義の結果(=つまりプロジェクトの目的)を最上位のゴールとして
  • 課題分析で導出した課題の裏に潜む価値観/要求をゴール要素として

表4:ゴールモデルの組み立てと構造化

   当然、1回のゴールモデルで利害関係者の間で腑に落ちない場合もあるでしょう。またゴールモデル全体に違和感がでてしまうような場合もあると思います。その場合には図1のオレンジの矢印のように、ゴールモデルを再構築することになります。

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株式会社NTTデータ 平岡 正寿
著者プロフィール
株式会社NTTデータ  平岡 正寿
基盤システム事業本部 システム方式技術ビジネスユニット
第一技術統括部 第一システム方式技術担当
SIerやコンサルティング会社を経て、2004年よりNTTデータに。システム開発がみんなを幸せにするには「上流工程こそ重要」という想いからMOYA策定プロジェクトに参加。現在、MOYAをブラッシュアップするとともに、多くの人に「知ってもらう・使ってもらう」ことに尽力している。


INDEX
第5回:MOYAのまとめとこれから
  MOYAのタスク振り返り
MOYAによる分析の流れ
  プロジェクト目的を共有することの重要性
  システム構築にむけて