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経験が物語る実践型プロジェクト管理
第3回:顧客業務の徹底理解や会議手順の変更では解決できないこと
著者:
イマジンスパーク 深沢 隆司
2006/3/15
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現場とは?
前回は「会議の進め方と議事録術」ということで、拙著「デスマーチよ!さようなら!」や「SEの教科書」などで、繰り返し書かせていただいている「深沢式 会議法・議事録術」の手順を紹介しました。「深沢式 会議法・議事録術」の手順については前回の記事で理解いただいたという前提で、今回から2回に渡ってその根拠や手順では解決できないことなどについて解説します。
「事件は会議室で起こっているんじゃない。現場で起きているんだ!」という有名な映画のセリフがありました。「まさにその通り!」と感じた人も多いことでしょう。本連載で紹介している「スペックパターン開発プロセス」も現場主義を強調しています。現場とは「顧客・ユーザの現場」と「開発の現場」の両方で、仕様策定者はこの両方の現場の橋渡し役を実現できる開発プロセスとなっています。
そもそも、「スペックパターン開発プロセス」という名前自体に意味はなく、まさに「現場」で現実に起こる様々なことに対しての細かい対処アイデアをひとくくりにまとめて名前を付けただけです。やむを得ず名前をつけたのは、会議室などで話題にだしやすいようにというのが目的です。
そして、「スペックパターン開発プロセス」では以前にも紹介した通り、「会議が開発プロセスの土台」としています。
会議の現場?
会議を開発プロセスの土台として捉えると、今度は「会議」そのものの「現場」を考えることになります。では、「会議の現場」で起こっていることは何でしょうか。表1のようなことが考えられます。
自分はいったと思っていたが、いっていなかった
自分では聞いたと思っていたが、相手はいっていなかった
参加者の一部が私語で聞いてなかった
いったことを忘れていた
聞いたことを忘れていた
決定事項だと思っていなかった
勝手に決定事項だと思っていた
誤解した
表1:「会議の現場」で起こっていること
そして、これらの問題が発生しないよう議事録をとるのが普通の考え方です。では、一般的な会議の現場で議事録をとる際には何が起こるでしょうか。まず思いつくこととしては、表2のようなことがあげられます。
書記の記録が発言に間に合わなかったため、充分な記述ができていない
発言(決定事項)を聞き漏らしてしまった
表2:議事録を取る際に起こりうること
読者の皆さんはすでにおわかりいただけると思いますが、前回お伝えした「深沢式 会議法・議事録術」では、書記が会議の進行を止められますので、ひとまずこの問題を回避できます。次に起こりえるのは、表3のような事柄です。
書記が発言(決定事項)を誤解して記述してしまう
そもそも発言が決定事項ではないのに、決定事項であるかのように記述してしまう
決定事項そのものが誤解を招きやすい表現になっている
表3:その他議事録を取る際に起こりうること
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著者プロフィール
株式会社イマジンスパーク 深沢 隆司
株式会社 イマジンスパーク 代表取締役
陸上自衛隊少年工科学校第25期生。対空戦闘指揮装置の修理要員として自衛隊に勤務。退職後に一部上場企業や官庁でのシステム開発等で仕様策定、プロジェクトマネジメントに従事し、独自の手法で成功に導く。著書は『SEの教科書』他。
INDEX
第3回:顧客業務の徹底理解や会議手順の変更では解決できないこと
現場とは?
「深沢式 会議法・議事録術」による問題点の解決
会議のモチベーションを考える