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シマンテックイエローブック
ストレージ管理の標準化

第7回:Storage Foundationの使い方

著者:シマンテック   2007/5/21
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バンカーレプリケーション

   企業は、特定のデジタルデータのセットが自社のオペレーションや、極端な場合には自社の存続にとって非常に重要であるという認識をますます深めています。企業は、近年起きた自然災害や他の災害を念頭に置いて、重要なデータを自社のデータセンターを壊滅させるおそれがある災害に対して耐えるようにする必要性を痛切に意識するようになってきました。

   社会が非常に重要であるとみなす軍事、金融、医療などのほとんどの業種が、法律や他の規制によって想定されるあらゆる脅威による破壊に対してそれらのデジタル記録を保護するように要求されています。

ディザスタリカバリ計画の要因

   データを保存して災害後にそれをアクセス可能にするためのディザスタリカバリの計画は、大企業の間ではすでに当たり前になっており、一部の小企業にも導入されているようです。ディザスタリカバリの計画にはさまざまなものがありますが、一般に次の2つの主な要因によって決定されます。

  • RTO(Recovery Time Objective)、または災害と、重要なデータとアプリケーションへのアクセスの復元の間の時間
  • RPO(Recovery Point Objective)、またはリカバリの時点である重要なデータにとっての特定時点(PIT)

表1:主な要因

   ディザスタリカバリの時間とは、災害の認識と対応の速度、リカバリ機能の迅速性、ITと環境の両方、リカバリ場所を運用するスタッフの可用性、物理的環境上の災害の影響度などのさまざまな変数の関数です。これらの要因の多くが、企業がコントロールできる範囲を超えています。

   リカバリポイントとは、破壊に備えてデータを保存するために使う技法のある主要な機能のことです。従来は、データセンターから離れた場所に保存されたテープ上の重要なデータの特定時点(PIT)のバックアップコピーが、主なリカバリのしくみでした。バックアップテープのセット(災害よりも数日前から数週間前の特定時点のもの)をリカバリサイトに運搬してそれをリストアすることで、文字通り災害よりも数週間前のリカバリポイントを復元できます。

   今日、このようなリカバリでは、ほとんどの企業では不十分になっています。企業にとっての真に重要なデータに関しては、企業は、通常重要なデータへの更新をリモートの場所に伝送するなんらかの形式のネットワークベースのレプリケーションを導入しています。

   この場合、その伝送した更新を実働データのコピーに適用して、最新またはほとんど最新に近い状態を復元します。


データレプリケーションソリューションの特性

   オンラインデータは、複数のレベルで複製できます。ディスクアレイのLUN、VxVMボリューム、ファイル、データベースの複製用の各種ツールが利用可能です。各レベルは、どの更新をコピーするか、いつコピーを実行するか、どのように更新をリカバリ場所で実働データのコピーに適用するかという点に関して重複がありません。

   複製の最も一般的な形式は、LUN または仮想ボリュームです。この理由は、おそらく、仮想デバイスを複製すると、アプリケーションの処理に必要なことがある、データベースのテーブルと索引とすべての補助的なファイル、ソフトウェアイメージ、スクリプトなどのデバイス上のすべてを複製するためです。仮想デバイスを複製すると、実働データの更新、アプリケーションへのパッチ、処理スクリプトへの修正などを、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでリカバリ場所にすべてコピーします。

   正しいデバイスを複製すれば、重要な制御ファイル、ソフトウェアライブラリなどに関して、それらが必要になった場合に、リカバリ場所で利用できないのではないかという心配はまったく必要ありません。

   ディザスタリカバリのほとんどの側面と同様に、データレプリケーションに関する主な問題は、そのコストです。ITに関するディザスタリカバリの最大の資本コストは、災害の後に企業の主要なアプリケーションの再開に必要な敷地と建物、装置、接続などのリカバリサイトのコストです。ほとんどの大企業が、自社のリカバリデータセンターを実働データセンターから遠距離に(数百マイルから数千マイルも)配置し、災害が両方に影響を与える確率がほとんどないようにしようとします。

   しかし、リカバリデータセンターを実働データセンターから数百マイルもある場所に設置することによって、ジレンマが起きます。一方で、リカバリ場所にある最新データは、新でなくなった古いデータよりも価値の高いデータです。商取引上の資金移動などの価値の高いアプリケーションの場合、それらのデータは非常に重要でさえあることがあります。

   しかし、リモートのデータを完全に最新に保つ(同期化する)ことは、アプリケーションのスレッドが続行可能になる前に、実働データとリモートデータの両方への更新が完了している必要があることを意味します。

   1秒あたり数百もの更新を受けることがあるエンタープライズ規模のトランザクション処理システムでは、リモートデータを最新に保つためには、ネットワークに非常に広い(高価な)帯域幅を必要とします。そのうえ、実働データセンターから数百から数千マイルも離れたリカ伝播に必要な時間により、アプリケーションの応答時間が耐えらバリセンターの場合、完全に最新のデータに保つことは、複雑で異なるトポロジーを持つ長距離ネットワークを介した更新のれないほどに増大するため、単純に不可能なこともあります。

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シマンテックイエローブック

本連載は、シマンテックイエローブック「ストレージ管理の標準化〜Veritas Storage Foundation.を使って、企業全体のストレージ管理効率を向上」からの転載記事です。シマンテックイエローブックとは、ITプロフェッショナルの方や一般の技術者に対して、技術的なノウハウを提供する本です。これらの本はシマンテックのソリューションを使って実際のビジネスや技術上の問題を「どのように解決するのか」について書かれています。またベストプラクティスに基づく推奨事項に加え、インストール、設定、製品の統合についても詳しく解説されております。詳しくは、下記のURLを参考にしてください。

http://www.symantec.com/ja/jp/enterprise/yellowbooks/index.jsp

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著者プロフィール
株式会社シマンテック
シマンテックは、情報のセキュリティ、アベイラビリティ、整合性の確保に役立つソリューションを個人や企業のお客様に提供する世界的なリーダーです。米国カリフォルニア州クパティーノに本社を置くシマンテック コーポレーションは、現在、世界40ヶ国以上で事業を展開しています。

http://www.symantec.com/jp


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