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インフラ構築
後悔しないためのインフラ構築の勘所
〜パッケージアプリケーション導入編〜

第1回:パッケージアプリケーションの現状とトレンド

著者:日本アイ・ビー・エム  後藤 秦剛   2007/2/19
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企業システムにおけるパッケージアプリケーション選択

   企業システムにおいてERP、CRM、SCMなどのパッケージアプリケーションを導入する際、何を中心に検討するだろうか。必要な要件や機能を整理し、それを元に複数のパッケージベンダーからの提案を受け、価格やサポート、カスタマイズなどの条件から検討する、というパターンが多いのではないだろうか。

   現在多くのパッケージアプリケーションは様々なIT基盤を幅広くサポートしている。企業での導入にあたっては、ITスペシャリストやITアーキテクト、ユーザなど立場によって異なるであろう選択ポイントを整理し、それぞれ取捨選択を行い最適なIT基盤を構築しているだろう。

   ところで、この取捨選択の検討においてインフラはどの程度重視されているだろうか。インフラは、アプリケーションが決まった後から必要な要件にあわせて整備するという企業も多いのではないだろうか。

   しかし、独立系ソフトウェア・ベンダー(ISV)の立場から見て、インフラ構築はアプリケーション選択において非常に重要な検討項目なのである。そこで本連載では、パッケージアプリケーション導入を支えるインフラ構築についての勘所を解説していく。今回はパッケージベンダーの動向とインフラ環境の変化の2つの観点からインフラ環境の現状と今後のインフラ検討の重要性を認識する。

なぜインフラが重要なのか

   では、なぜインフラが重要なのだろうか。これまで国内におけるパッケージアプリケーション導入の実情から考えてみたい。

   パッケージアプリケーションが日本に導入されはじめてから、すでに10年以上経過している。日本では、欧米のようにシステムをパッケージにあわせるという考えよりも、既存のシステムにあわせてパッケージを選択し、パッケージにない機能は作り込むといった考えが主流である。

   よってパッケージアプリケーション導入のプロジェクトも追加機能開発の比重が高いものとなっていると分析される。実際にアドオン開発(作り込み)コストの割合が欧米に比べると高いという調査結果からもそれは裏付けられるだろう。

   一方、インフラ構築のコストの割合は、パッケージアプリケーション導入プロジェクト全体からみると低くなっている。割合が低いということはインフラ構築の重要性も低いという錯覚に陥るユーザもいるかもしれない。またインフラ環境は、パッケージアプリケーションの導入マニュアルに記載されている必要スペックを満たすハードウェアなどのインフラ環境を用意すればいいと考えている方もいるかもしれない。

   しかし、パッケージアプリケーションの選定において、安易なインフラ選定をしたために失敗したという例も多いのである。選定にあたっては、構築対象パッケージアプリケーションの特性や機能要件、また運用要件などの非機能要件まで幅広く考慮し、インフラ環境を検討していくことが必要である(図1)。

パッケージ導入プロジェクトの構成要素
図1:パッケージ導入プロジェクトの構成要素

   では、インフラに影響を与える要因についてみていこう。

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日本アイ・ビー・エム株式会社 後藤 秦剛
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社
後藤 秦剛

1990年、日本アイ・ビー・エムに入社。1998年よりISVパッケージのテクニカルサポートに従事。経営イノベーショングローバルISVソリューションズ所属。


INDEX
第1回:パッケージアプリケーションの現状とトレンド
企業システムにおけるパッケージアプリケーション選択
  パッケージベンダーの動向
  インフラ環境の変化