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SCM 2.0
サプライチェーンから始まるSCM 2.0の波

第1回:物流における問題点とITによる解決

著者:スターリングコマース  高越 章博、大森 二郎   2007/2/2
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顧客視点の新たなSCM(サプライ・チェーン・マネージメント)2.0

   90年代から、ITシステムを利用したSCM(サプライ・チェーン・マネージメント)の導入のメリットがいわれて久しい。流通関係のシステムのことを詳しい人であれば、90年代台後半から本格的にSCMが様々な企業に導入されてきたことはよくご存知だろう。

   まずSCMとはどのようなものなのかを簡単に説明しておこう。SCMとは原材料の調達から製造、流通、販売までの一連のビジネスプロセスの全体最適を目指す戦略的な経営手法であるが、それを実現する為にはITが不可欠であることから、サプライチェーン全体の動きを見ながら、経営判断の迅速化を図る意思決定支援システム(計画系)や実行系システムのことである。

   これは主に企業や組織の壁を超え、ひとつのビジネスプロセスとして経営資源や情報を共有し、全体の最適化を目指してプロセスの無駄を徹底的に削減することが目的としてあげられるものだ。

   例をあげると、商品の売れ行きといった小売情報をチェーン全体で物流などの情報を共有することができれば、メーカー側は製造会社や部品供給会社に対して素早く的確に資材を発注することが可能となる。すると受注から納入までの期間が短縮できるうえに、販売店側からの納期回答の迅速化にもつながり、顧客満足度の向上も期待できるものだ。

   これからの流通業界において、複数の企業や組織の壁を超えてひとつのビジネスプロセスとして経営資源や情報を共有し、チェーン全体の最適化を目指してプロセスの無駄を徹底的に削減していくことが、SCMの狙いなのである。

これまでのSCMの問題点

   しかし実際に導入されたSCMを見てみると、経営者や工場、サプライヤ、仕入先などの各レベルで生産計画や方針、思惑などが異なることも多々あり、システムのみならず経営戦略的にも理想の形を実現することができなくなっているのが現状だ。

企業がかかえる課題
図1:企業がかかえる課題
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   なぜかというと、従来のSCMは以前に存在する在庫システムなどを簡単に接続しただけのものがほとんどであった。確かにデータの共有という側面でみれば、つながっていない状態から一歩前進したかもしれない。しかしビジネスの有機性として考えてみると、一部だけをシステム化しても、全体としてみるとほとんど意味のないものである。

企業を取り巻く環境
図2:企業を取り巻く環境
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   ほかにも、多くの企業がこれからビジネスの展開を速めるために、企業買収や合併ということ行い、その規模は膨らんでいる。このような環境において、これまでのSCMでは、買収した先のシステムを接続するだけで大変な作業となり、システムの統合などは夢のまた夢といえるだろう。

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スターリングコマース株式会社 高越 章博
著者プロフィール
スターリングコマース株式会社  高越 章博
SCMソリューション営業部 セールスエンジニア
外資系ITベンダー、外資系ソフトウェア会社にてERPコンサルタントを経て現職。SCMアプリケーションパッケージによるソリューションの提案活動に従事。


スターリングコマース株式会社 大森 二郎
著者プロフィール
スターリングコマース株式会社  大森 二郎
SCMソリューション営業部 アカウントマネージャ
日系IT企業でのプログラマー、営業、外資系ITベンダーでの営業を経て現職。SCMアプリケーションパッケージによるソリューションの提案・販売活動に従事。


INDEX
第1回:物流における問題点とITによる解決
顧客視点の新たなSCM(サプライ・チェーン・マネージメント)2.0
  SCM 1.0の現状と変化に対応できるSCM 2.0
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