TOP情報セキュリティ> シンクライアントシステムの構造
シンクライアント徹底入門
シンクライアント徹底入門

第2回:シンクライアントの構造とセキュリティ対策

著者:サン・マイクロシステムズ   寺澤 慎祐   2006/10/12
1   2  3  次のページ
シンクライアントシステムの構造

   本連載の「第1回:シンクライアントとは何か」でも解説したように、シンクライアントシステムとは、必要最低限なソフトウェアだけを搭載した端末です。したがって、端末には通常のPCに搭載されているCPUやメモリ、ハードディスクやOSなどがあってもよいですし、なくてもよいのです。

   シンクライアントシステムは、提供するベンダーによってサーバ側/クライアント側のソフトウェア種類が違います。ここでは表1にあげる3つの種類に分けて解説していきます。
1 サーバ環境が1つ(Windows)で、端末環境をいくつか選択できる サーバ1 : クライアントn
2 サーバ環境が1つ(WindowsあるいはUNIX)で、端末環境は選択できない サーバ1 : クライアント1
3 サーバ環境を選択できて、端末環境もある程度選択できる サーバn : クライアント1

表1:シンクライアントシステムの分類


1.サーバ環境が1つで、端末環境を選択できる

   この分類の代表は、必要最低限なソフトウェアとしてシトリックス社のCitrix Presentation Serverクライアント(旧称:ICAクライアント)を使う場合です。

   サーバ側のWindowsは、マルチユーザで動作するWindows Server Terminal Serviceを用意します。この環境のWindowsには、Presentation Serverクライアントを搭載した端末からアクセスすることができます。

   Presentation Serverクライアントは、MS-DOS、Windows 3.1/95/98/2000/XP、Windows CE、Linux、Solaris、HP-UX、Mac OSなどの多くの環境で動作します。

   したがって、MS-DOSしか動かない古いPCでもWindows XPが使えるし、サン・マイクロシステムズ社のワークステーションやMacintoshからWindowsが使えます。つまり、「シングルサーバ環境:マルチクライアント環境」ということです。

シングルサーバ環境:マルチクライアント
図1:シングルサーバ環境:マルチクライアント
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


2. サーバ環境が1つで、端末環境も選択できない

   この分類の代表は、サン・マイクロシステムズ社のSun Rayを使ったシステムと、マイクロソフト社のRDP(Remote Desktop Protocol)クライアントです。

   まずサン・マイクロシステムズ社のSun Rayシステムを紹介します。端末は独自のファームウェアが搭載されているSun Ray端末を利用します。Sun Rayは独自のプロトコルを通じてサーバ側にあるSun Ray Softwareで管理されたサーバOS環境を表示します。つまり、Sun Rayの環境では端末も限定され、サーバ側のOSもSolarisに限定されます(図2)。

Sun Rayシステム
図2:Sun Rayシステム

   次に、マイクロソフト社のRDPクライアントを使ったシステムを紹介しましょう。RDPクライアントは、Windows 95以降に開発されたOSに標準搭載されているクライアントソフトウェアです。このRDPクライアントは、Windows Server Terminal Service(Windowsのマルチユーザ環境)にRDPを通じてアクセスし、サーバ側で実行されるアプリケーションをクライアント側に表示します(図3)。

RDPクライアント
図3:RDPクライアント

   この2つの方式はともに、「Solaris(サーバOS)- Sun Ray(端末)」「Windows Server OS(サーバOS)- Windows OS(端末)」であり、「シングルサーバ環境:シングルクライアント環境」となります。

   またマイクロソフト社の方式はシンクライアントシステムではありますが、端末側はファットクライアントです。またSun Ray SoftwareはLinux上でも動作しますので、後述する3の形態に近いともいえます。

1   2  3  次のページ


サン・マイクロシステムズ  寺澤 慎祐
著者プロフィール
サン・マイクロシステムズ  寺澤 慎祐
1990年から、RDBMS、オブジェクト指向言語・開発・DB、デスクトップUNIX、シンクライアントなどの販売・マーケティングに従事し、2000年からEコマースアプリケーションの開発・マーケティング、Javaフレームワーク、コンポーネント再利用、開発方法論などを展開し、2004年にサン・マイクロシステムズへ入社。現在は政府官公庁の市場開発、セキュリティプロジェクト、ユーティリティコンピューティングプロジェクトなどに従事している。


INDEX
第2回:シンクライアントの構造とセキュリティ対策
シンクライアントシステムの構造
  3. サーバ環境を選択できて、端末環境もある程度選択できる
  シンクライアントシステムの利点