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SMB市場における新ITシステムの動向
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第3回:SMB市場におけるSCMの導入実態
著者:ノーク・リサーチ  伊嶋 謙二   2006/1/30
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SCM導入プロジェクトを成功させるために

   SMBにおけるSCMについて、全体的にネガティブな解説になってしまったが、最後にSCMがSMBに浸透するにはどうしたらいいか考察する。そのポイントを次の3点に集約する。
SMBユーザにわかりやすいようなSCMに関する導入事例を用意する

   まず、SCMベンダーとしてはSMBユーザへのSCMソリューションの導入実績を積み重ねることが急務となる。現在のところ、SMB向けでSCMの導入事例を多く持つベンダーはいない。

   そのためには、SMBユーザに対して「SCMソリューションを採用することで、何がどのように実現するのか」という具体的なイメージを持たせる必要がある。Webサイト上に情報を開示するだけではなく、規模の大きなイベントなどで大々的に宣伝できれば、より多くの効果を得られるであろう。


商談が持ち上がった際、大切にすべきはコンサルティング

   SCMソリューション導入の検討段階に入ったSMBユーザに対し、ベンダーは徹底的にコンサルティング(ヒアリング)を実施し、各社異なる問題を洗いざらい浮き彫りにし、表2のどれを優先して提案すべきかを検討しなければならない。

  • SCPを活用した需要予測
  • 円滑な物流管理や倉庫管理
  • POSシステムで実績データを取得することによる、販売先との協力関係の構築
  • 原材料や資材を購買する取引先との情報共有

表2:検討段階のSMBユーザに対して提案すること

導入が完了するまで経営者を中心にプロジェクトチームで議論する

   コンサルティングの上での提案を受けたSMBユーザとしても、プロジェクトチームを作るなどしてメンバー間での認識の統一をはかる必要がある。それを怠った場合、ソリューション導入までの期間が長期化したり、コンサルティング費用が無駄にかさんだりする可能性がある。

   せっかく導入したソリューションにもかかわらず、うまく機能しなくなければ本末転倒である。スムーズなソリューション導入と運用のためにも、導入前から導入後のビジョンをベンダーとユーザ企業側で統一しておく必要がある。経営者が企画段階から積極的に参画すべきである。


次回は

   次回はSMBにおけるCRM(Customer Relationship Management)の実態を見ていく。その際、SFA(Sales Force Automation)やCTI(Computer Telephony Integration)をCRMのカテゴリに含めて紹介していく。

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有限会社 ノーク・リサーチ 伊嶋 謙二
著者プロフィール
有限会社 ノーク・リサーチ  伊嶋 謙二
1956年生まれ。1982年、株式会社矢野経済研究所入社。パソコン、PC(IA)サーバ、オフコンなどをプラットフォームとするビジネスコンピュータフィールドのマーケティングリサーチを担当。とくに中堅・中小企業市場とミッドレンジコンピュータ市場に関するリサーチおよび分析、ITユーザの実態を的確につかむエキスパートアナリスト/コンサルタントとして活躍。1998年に独立し、ノーク・リサーチ社を設立。IT市場に特化したリサーチ、コンサルティングを展開すると同時に、業界各誌への執筆活動も積極的に行っている。


INDEX
第3回:SMB市場におけるSCMの導入実態
  はじめに
  SCM導入の予定がないユーザが全体の6割弱
SCM導入プロジェクトを成功させるために