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ソフトウェアメトリックス調査報告〜システム開発における品質・工期・生産性
第2回:品質・コスト・工数の関係
著者:
日本情報システム・ユーザー協会
2005/11/4
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規模(工数、KLOC、FP)別工期およびその比率に関する分析
プロジェクトで、設計、実装、テストにそれぞれどの位の比率で工期を配分しているかを見るために、プロジェクト規模別に、フェーズ別工期の比をみるための、各フェーズ別平均工期の分析を行った。それを定義すると次のようになる。
設計工期 = 要件定義 + 外部設計
実装工期 = 内部設計 + 製作
テスト工期 = 結合テスト + 総合テスト1(ベンダー内テスト) + 総合テスト2(顧客内の総合テスト)
表6:設計・実装・テスト工期の定義
フェーズ別工期
PJ規模(工数)
工期/件数
設計工期
実装工期
テスト工期
テスト比率
10人月未満
平均工期(月)
2.17
1.83
4.00
50.0%
件数
3
3
3
50人月未満
平均工期(月)
3.84
3.17
4.94
41.3%
件数
24
24
24
100人月未満
平均工期(月)
3.10
4.50
6.35
45.5%
件数
10
10
10
500人月未満
平均工期(月)
5.54
6.97
9.81
43.9%
件数
18
18
18
500人月以上
平均工期(月)
13.00
9.67
12.00
34.6%
件数
3
3
3
記入なし
平均工期(月)
5.69
4.75
6.63
38.8%
件数
8
8
8
総計
平均工期(月)
4.76
4.83
6.96
42.1%
件数
66
66
66
表7:フェーズ別工期
設計工期:実装工期:テスト工期は、おおよそ平均で3:3:4になっている。
品質の指標と基本統計量・分布
ユーザ側から見たソフトウェア品質の尺度として、「受入検査から総合テストを経て、安定稼動にに至る間に、ユーザが発見した欠陥数の密度」という考えに基づき、欠陥数PER_工数(人月当欠陥数)という概念を導出した。
欠陥率 = 欠陥数PER_工数 = 総合テスト2〜フォローのフェーズ(受入テスト〜安定稼動まで)で発見された不具合の数 ÷ プロジェクト全体工数
欠陥率が計算できたプロジェクト(不具合数、工数ともに記入されている回答数)は133件中67件であった。その基本統計情報と、分布を以下に示す。
図5:人月当欠陥
欠陥率(人月当欠陥数)
平均
0.700659701
標準誤差
0.125086246
中央値(メジアン)
0.2806
最頻値(モード)
0
標準偏差
1.023875052
分散
1.048320122
尖度
4.662189817
歪度
2.143158971
範囲
5
最小
0
最大
5
合計
46.9442
標本数
67
信頼区間(95.0%)
0.249742658
表8:欠陥率(人月当欠陥数)
平均値は1人月あたり0.7件の欠陥数である(5人月あたり3.5個のバグ)。上記分布を鑑み、今後の分析において、プロジェクトの品質のランクを次のように分類することにする。
欠陥数PER_工数 = 0
欠陥数PER_工数 = 0.25未満
欠陥数PER_工数 = 0.05〜0.5まで
欠陥数PER_工数 = 0.5〜1まで
欠陥数PER_工数 = 1〜3まで
欠陥数PER_工数 = 3以上
表9:プロジェクトの品質ランク
0
0.25未満
0.5未満
1未満
3未満
3以上
計
件数
6
25
13
8
10
5
67
比率
9.0%
34.3%
22.4%
11.9%
14.9%
7.5%
100.0%
表10:欠陥率(欠陥数PER_工数)
0.25(人月)以下、およそ500万円あたり1件以内に納まっているプロジェクト比率は、43%程度である。
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著者プロフィール
日本情報システム・ユーザー協会
社団法人 日本情報システム・ユーザー協会
ユーザーの立場からの産業情報化の推進を目的とし、大手ユーザー企業を中心に、約250社の会員を擁し、経営とITに関する様々なテーマや、立場に応じた40以上の委員会、研究会、研究プロジェクトを実施し、毎年、各種調査・研究報告書の刊行や、提言を行っている。1962年、日本データ・プロセシング協会として創立、1992年社団法人日本情報システム・ユーザー協会として、全面的に拡充改組。
http://www.juas.or.jp/
INDEX
第2回:品質・コスト・工数の関係
品質とコストの関係
規模(工数、KLOC、FP)別工期およびその比率に関する分析
品質基準の有無と欠陥率
予算 Vs. 工数分布(特異点を抜く)