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だからあなたの会社のシステムは動かない
〜システム発注担当者の悩みを解決します〜

第1回:システム発注担当者の苦悩

著者:システムクリエイト  田中 徹   2004/11/16
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システム開発とは

  システムとは、さまざまな業務をコンピュータ上で実現するためのものです。

  コンピュータを使わなければできないものもありますが、ほとんどの場合、人間の手で出来る業務をシステム化するわけです。決して安くない予算を使ってシステム化するわけですから、費用対効果が明確でないといけません。

  システムは大別すると2つの性格に分かれます。ひとつは新しい営業戦略や新規プロジェクトなど、これから伸びていく業務をシステム化する場合で、もうひとつは合理化対策や人件費削減などによって、人に代わってコンピュータに業務を行わせるというものです。前者はシステムの良し悪しが業務の成果まで決めかねないものであり、予算的なことより、機能、使いやすさを優先するでしょう。後者はあまり前向きな姿勢の開発ではなく、予算も厳しいことが多いでしょう。

  この辺の理解がないシステム開発会社の場合は、SEや営業と話をしても噛み合わないことがよく見受けられます。最優先課題は何かを意識している開発会社の提案は、こういう面がしっかりしているものです。


システム発注で失敗しないために

  自社の基幹システムや業務システムに対する満足度を調査したら、おそらくかなり低い数字になるのではないでしょうか。各種システムに対する不満は色々あるでしょうが、「使いづらい」「画面が分かりにくい」といった操作性の問題や「処理が遅い」「実業務と合っていない」という機能の問題に分けることができます。

  では、なぜ時間と予算をかけたはずのシステムに対する不満がこんなにも多いのでしょう。開発会社がダメなのでしょうか。そうとばかりは言えません。確かに質の低いシステムしか開発できない会社もありますが、大手からソフトウェアハウスに至るまで、決して技術レベルは低いわけではありません。もっとも、最近のシステム開発には技術力はもとより、ヒアリングスキルを始めとする、コミュニケーション能力が重視されています。システム開発とは、発注側と開発側とでコミュニケーションをとりながら開発していくものです。開発側のヒアリングキル不足もありますが、それより大きな原因として発注側の体制に問題があることの方が実は多いのです。

  発注側の体制というのは、発注担当者にIT知識が足りないということではありません。発注担当者に必要なこと、発注担当者の所属する情報システム部への権限や、他部署からの意識、システム開発会社との付き合い方、開発会社のSEをどう見極めるかなど、発注者担当者向け、発注側企業向け、経営者向けの情報を今後詳しく説明していきます。


情報システム部の立場

  SEとしてまたシステムコンサルタントとして、数多くの現場を見てきた経験から、発注側の体制次第で失敗を防げたケースというのも少なくありません。開発プロジェクトを進める前に情報システム部を始めとして、経営者に至るまで意識改善を提案したこともあります。

  IT業界、システム開発という分野はマシンの性能向上、技術革新、ツール等の進歩にめざましいものがあります。反面、未熟な業界でもあるので、契約を含めた発注−受注のスタンダードスタイルを模索中といえるでしょう。

  今まで、システム開発会社に丸投げしていた企業の方も、自社でITの専門家を育成しようとして上手く行かなかった企業の方も、THINK-ITのこのページで少し意識を変えてください。


この連載は、ユーザ企業のシステム発注担当者向けのものです。発注担当者の方で、悩みを抱えられている方は、編集局までメール<info@thinkit.co.jp>でご相談ください。この連載を担当している田中徹氏がその解決法をお答えします。
※全てのご相談にお答えできるわけではありません。予めご了承ください。
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著者プロフィール
システムクリエイト有限会社  田中 徹
代表取締役。1963年生まれ。MS-DOS時代から、汎用機−PCでのデータ送受信を行ってのチャート(金融業)、表・グラフ描画(財務系)などのシステム開発を行う。 社内人事管理(勤怠・人材活用)、流通業、制御系の分野や集計業務なども手掛ける。ソフトウェアハウスや大手開発会社まで多数の現場で開発を経験し、33歳で独立。現在は各業種・分野でSEとして、またシステムコンサルタントとして活動中


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