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第6回:Metrics plugin for Eclipse - メトリクス計測ツール

著者:坂田祐司(SAKATA, Yuji)   2006/4/18
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依存性解析機能

   もう1つの主な機能である依存性解析機能を紹介します。この機能は、どのパッケージ(およびクラス)とどのパッケージ(およびクラス)に強く依存性が存在するかを直感的に把握するグラフと、その依存性を改善するときに有効な機能を提供します。依存性解析ビュー(Dependency AnalysisView)は、メトリクスビューの図5における依存性グラフビューボタンをクリックしてください。メトリクスビューの横に新たに図6のような依存性解析ビューが表示されます。

依存性グラフ解析ビューの表示ボタンー
図5:依存性グラフ解析ビューの表示ボタン
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

依存性解析ビュー
図6:依存性解析ビュー
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   赤もしくは青の背景色の四角形がパッケージを表し、それらをつなぐ三角形の線は太い接点を持つパッケージから細い接点を持つパッケージへ依存関係があることを示します。相互依存性がある場合は、互いのパッケージから三角形の線が出ているような線になります。たとえば図7では、org.sakata.bowlingGame.framesからorg.sakata.vowling.pthrowへの依存性があり、org.sakata.bowlingGame.framesとorg.sakata.bowlingGame間には相互依存性があることを示します。

依存性解析グラフの例
図7:依存性解析グラフの例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   また、中心に存在する黄色の丸は、パッケージ間のもつれ(tangle)を表しています。この丸と黄色の三角形の線によって結ばれているパッケージは、すべて互いに到達可能である、つまりサイクルしていることを示しており、パッケージの設計としてよくない兆候であることを示しています。また、黄色の丸の中の数字は、左がパッケージ間のもつれを生じているパッケージ数、右がその中で最も遠いパッケージ間の線の数、つまり依存性の遠いパッケージ間到達に必要な線の最大値(例では、org.sakata.bowlingGame.pthrowとorg.sakata.bowlingGame.ui間の3)を表しています。

   では、このパッケージ間のもつれの詳細を解析してみましょう。黄色の丸を右クリックし、詳細を解析する(Analyze Details)を選択してください。図8のような画面が表示されます。この表示においては、パッケージ間ではなく、クラスやインタフェース間の依存性を解析し、それらのもつれを表示します。図8の例では、FinalFrame、BaseFrame、Game、DefaultFrameの各クラスがもつれていることがわかります。このような設計が必要なものかどうか再検討する必要があります。

パッケージ間のもつれに注目して詳細化された依存性解析グラフの例
図8:パッケージ間のもつれに注目して詳細化された依存性解析グラフの例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)


まとめ

   メトリクス計測ツールは、ソフトウェアの品質を評価することを目的として取得される、ソフトウェアの開発プロセスや成果物に関する何ら尺度を算出するツールの総称です。その中でMetrics plug-infor Elipseは、Eclipseで用いることができるツールとして有用です。ぜひ利用して、現在開発中のプロジェクトの品質向上に活用してください。

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坂田祐司(SAKATA, Yuji)
著者プロフィール
坂田祐司(SAKATA, Yuji)
SI企業の研究所においてソフトウェア工学の研究に従事。試験やプログラムの解析技術に興味を持ち活動中。

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第6回:Metrics plugin for Eclipse - メトリクスの計測
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依存性解析機能