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データで見るエンタープライズサーバOS市場動向
徹底比較!! エンタープライズサーバOS

第1回:データで見るエンタープライズサーバOS市場動向

著者:大神企画  富樫 純一   2004/12/3
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Linuxのポジションを考える

  それでは、エンタープライズサーバOSとしての可能性が注目されているLinuxはどうなのだろうか。もう一度、グラフを見てみよう。

図1:2003年国内サーバ市場価格帯別出荷金額OS別シェア


   まず目に付くのが、5000万円を超えるハイエンドサーバ市場で導入が始まっている点だ。これは、IBMが積極的に進めているオープンメインフレーム・サーバ戦略によるものである。

   「IBMは1990年代、OSを巡って大きな戦略ミスをして、市場シェアを激減させたことがあります。それを反省し、Linuxをはじめとするオープンソースとの共生をテーマにした戦略をいち早く打ち出しました。この分野(ハイエンドサーバ市場)のLinuxは、順調に伸びると見ています」(亦賀氏)

   一方で、ポストWindowsの最右翼として、ボリュームの最も多いエントリークラスの市場でもLinuxは順調に伸長している。図2は、ガートナージャパンが2003年10月に国内企業ユーザー約1,000社を対象としたLinux利用状況の調査結果である。それによると、Linuxを「利用中/導入中」という企業は全体の約3分の1、32パーセントに及ぶ。また、半数近い46パーセントのユーザーがLinuxに興味を持っているという。亦賀氏は、この傾向が続き、今後も企業の導入率は増加するだろうと言う。


図2:2003年10月に国内企業ユーザー約1,000社を対象としたLinux利用状況




   「ただし、Linuxの導入については、60パーセント以上が社内の技術力不足を懸念しています。また、アプリケーションの品揃え、Linuxに関する情報不足、ベンダーのサポート力不足などについても懸念する声が目立ちます(図3参照)」(亦賀氏)


図3:Linuxの課題


   とは言え、ガートナージャパンの調査結果の推移を見てみると、Linuxの「利用中/導入中」は、2001年の17パーセント、2002年の27パーセント、そして2003年の32パーセントと確実に右肩上がり(図4)。亦賀氏も、Linuxは、これまでの“興味”から、“実践”の段階へと移行したと分析する。


図4:Linuxの導入率


   「エンタープライズサーバOSの市場シェアは、2004年は14パーセント、2006年には20パーセントを超えるでしょう(図5)」(亦賀氏)




図5:国内サーバ市場におけるLinuxのシェア (出荷台数)


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著者プロフィール
有限会社大神企画  富樫 純一
代表取締役。週刊COMPUTERWORLD(IDG)編集記者を経て、月刊WINDOWS WORLDの創刊に携わる。1996年に編集長。1998年に月刊PC WORLD創刊。1999年、編集プロダクションを設立して独立。現在、幅広い執筆活動を展開。また、NHK BS「何でも解決!パソコンマガジン」にレギュラー出演するなど、テレビ・講演活動にも活躍。


INDEX
第1回:データで見るエンタープライズサーバOS市場動向
  価格帯で棲み分けるUNIXとWindows
Linuxのポジションを考える
  Linuxの“波”に乗ってよいのか?