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システム作りのもやっと感を解消する「MOYA」
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第3回:MOYAで行うステークホルダ分析

著者:NTTデータ  竹内 信明   2007/10/30
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ステークホルダ分析の実施

   ステークホルダ分析で行うべき作業とは、洗い出したステークホルダの「課題」を、リッチピクチャとして文字や図、絵で表現し、「課題」の対立や関連といった関係性を全体として捉え、検討すべき「課題」を選び出すことです。

   分析領域定義で定義されたその領域を「課題」のテーマとして、「課題」を各ステークホルダに書いてもらう/ヒアリングを行うなどして、リッチピクチャ上に、その「課題」を吹き出しとして表現します。

   直接ステークホルダから情報を得られない場合は、そのステークホルダの視点で「課題」を表現します。そののち、リッチピクチャ上に吹き出しとして表現された「課題」を、以下の表2の観点で添削します。
課題かどうか、という観点
例えば、配送担当者が、「配送状況が管理されていないから、お客様から問い合わせがあっても答えられない」という課題を挙げたとします。しかし、「配送状況が管理されていないから」というのは、課題というよりは、解決策を想定している表現となっています。この場合は、「配送状況を調べようがないから、お客様から問い合わせがあっても答えられない」とします。

「見えている」課題かどうか、という観点
例えば、製品開発担当者が、「製品の品質ばかりにこだわりすぎる」という課題を挙げたとします。その会社が「品質偏重」に見えるというのは、製品開発担当者の想像に過ぎません。経営層の意向や経営理念などを確認し、実際のところ、「品質偏重」であれば、経営層の課題として表現します。

その課題が事実に反していないか、という観点
誤解や事実誤認からくる課題に関しては、事実に反することがわかった時点で、排除しておきます。

表2:「課題」を添削する観点

   さらに添削済みの「課題」から、課題間にはどのような関係があるかを見極めます(表3)。

対立
  • ある課題を解決することが、別の課題の解決をより困難にするような関係
関連
  • どちらかの課題が事実と異なっている関係
  • 一方の課題を解決するともう一方の課題も解決する関係
  • 互いに類似している関係

表3:課題間の関係を見極める

   これら関係を整理し、「課題」の吹き出しを線で結んでいきます(図2)。

ステークホルダが持つ課題の関係性
図2:ステークホルダが持つ課題の関係性
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   最後に、今後検討を重ねて解決の糸口を探りたいという「課題」を以下のような「もやもやしている状態かどうか」という観点をもとにして探り当てます。

  • 不具合が発生しているのは確かなのに、その原因が何かはっきりしない
  • 単純に1つの課題の解決策を考えても全体として不都合が発生する可能性がある
  • 課題を提示したステークホルダが、それを解消する具体的な手段を持っていない
  • 確かに問題だと思われるが、誰が影響を受けているのかが特定できない

表4:もやもやしている状態かどうかを判断する観点

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株式会社NTTデータ 竹内 信明
著者プロフィール
株式会社NTTデータ  竹内 信明
技術開発本部
ソフトウェア工学推進センタ
MOYA黎明期の2004年に、ビジネスモデリング方法論MOYAの普及・推進プロジェクトに参画。現場の想いを重視し、現場と共に、あるべき姿を導くことを信条としている。現在、MOYAの研修講師や現場へのMOYA適用を中心として、MOYA普及・推進に日々奔走している。


INDEX
第3回:MOYAで行うステークホルダ分析
  ステークホルダ間の対立・関連の見極め
ステークホルダ分析の実施
  実践!ステークホルダ分析