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システム作りのもやっと感を解消する「MOYA」

第2回:MOYAで行う分析領域定義

著者:NTTデータ  竹内 信明   2007/10/10
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CATWOE分析の実施

   CATWOE分析は、以下のような作業のことを指します。
「C(Customer)、A(Actor)、T(Transformation process)、W(World view)、O(Owner)、E(Environment)」の6つの視点でXYZを深く掘り下げる

   XYZ分析で成文化されたXYZの妥当性を検証するために、以下のような視点でCATWOE分析を実施します。

視点 説明
C(Customer) Tの受益者(犠牲者の場合もある)
A(Actor) Tを行う人々
T
(Transformation process)
ある状態から、価値観Wに合致する別の状態へと変換するプロセス
W(World view) Tを意味あるものにする価値観
O(Owner) Tに関する責任者や所有者、あるいはTを止めることができる人々
E(Environment) 外部要素、Tを実現するために必要な資源、環境、制約条件

表2:CATWOE分析の際に用いられる視点

   さらに、検証のアプローチとして以下の項目を想定しています。

  • XYZ分析で成文化されたXYZに対して、1つ以上のCATWOE分析を行う
  • CATWOE分析の6つの視点をベースとしたヒアリングを顧客へ行い、XYZを成文化する

表3:検証の2つのアプローチ

   前者のアプローチは通常の作業の流れで、後者のアプローチはCATWOEの要素を活用してヒアリングをしながら、XYZを浮き彫りにしていく作業となります。これは検証目的というよりは、テクニック的なものとなります。

   前者のアプローチでは、XYZ分析で成分化されたXが変換後のTに該当します。Xないし変換後のTが、達成されている状態のイメージを思い浮かべながら、変換前のT(現在発生している問題状況など)および価値観Wに留意して、CATWOEの6つの視点を、具体的に記述していきます。

   後者のアプローチでは、XYZ分析の実施において「XYZの表現は、顧客とのヒアリングのなかで、その構造を意識しながら、合意を得られる形で、成文化していきます」と書きました。実際には、この顧客とのヒアリングの中で、CATWOEの6つの視点を意識しながらXYZの成文化を導きます。

   XYZ分析同様、以下の観点を意識しながら検証を行っていきます。

  • 変換後のTは達成可能か?

  • そもそも実現可能なレベルの設定か?

  • 実現されたかどうか検証/計測できるか?

  • Eによって、変換後のTは実現できるか?

  • 実現のために必要な環境は?

  • 制約条件は何か?

  • Oにとって、変換後のTが実現されることは良いことか?

  • Cにとって、変換後のTが実現されることは良いことか?

  • 変換後のTによって、メリットを享受するのは誰か?

  • Wの記述は適切か?

  • Wの記述レベルの基準としては、変換前のTを否定し、かつ変換後のTを肯定する根拠となっている必要がある

表4:CATWOE分析を検証する観点

  • Xは変換前のTを変換後のTに変換するか?

  • Xによって、変換前のTが、変換後のTに変換されることが十分に表現される必要がある

  • Aは、Xおよび変換後のTを実現できるか?

  • Aにその能力があるか?

  • その能力をつけるには何が必要か?

  • その役割はAが適任か?

  • Oにとって、Zが実現されることは良いことか?

  • ZとWの意図に矛盾はないか?

表5:XYZ分析とCATWOE分析の整合を検証する観点

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株式会社NTTデータ 竹内 信明
著者プロフィール
株式会社NTTデータ  竹内 信明
技術開発本部
ソフトウェア工学推進センタ
MOYA黎明期の2004年に、ビジネスモデリング方法論MOYAの普及・推進プロジェクトに参画。現場の想いを重視し、現場と共に、あるべき姿を導くことを信条としている。現在、MOYAの研修講師や現場へのMOYA適用を中心として、MOYA普及・推進に日々奔走している。


INDEX
第2回:MOYAで行う分析領域定義
  何を達成するため?何によって?何を行う?
CATWOE分析の実施
  実践!分析領域定義