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DB2 9
DB2 9の全貌

第1回:簡単!オートノミック機能で構築・運用しよう

著者:日本アイ・ビー・エム  岡口 純子   2007/7/23
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構築フェーズ〜自動ストーレッジ機能

   一般的にデータ容量が多いシステムの場合、I/Oの負荷分散や容量の見積もりなどを考えて物理設計を行わないと、性能に直結してしまう問題が発生します。

   DB2 9では、データベース作成時にデータを格納するドライブ名やパス名を指定すると、自動的にデータを分散し、データ容量にあわせて拡張してくれる自動ストーレッジ機能があります。この機能によって、面倒な分散配置や容量増加に伴うディスクのやりくりに頭を悩ませる必要がなく、全体のデータ容量で管理していくことができます。

構築・運用フェーズ〜自己チューニング・メモリ

   一般的にデータベースのパフォーマンスは、いかに効率よくメモリを有効活用することです。必要なデータをメモリ上に格納し、ディスクに対して読み書きにいかないようにするかということが決め手になります。

   そのため、各種メモリサイズの調整というのは、非常に重要です。

   しかしながら、「どれくらいメモリを必要とするのか」や「同時にどれだけ負荷がかかるのか」というのを事前に予測し、設定することは非常に難しく、アプリケーションが稼動してみないとわからないものです。

   DB2 9ではトランザクションの負荷に応じて、メモリの有効利用ができるようにメモリサイズの自動調整をしてくれる自己チューニング・メモリ(STMM:Self Tuning Memory Management)という機能がデフォルトで稼動します。

   データをメモリ上にキャッシュするバッファプールやソート処理を行うソートヒープも含め、動的にメモリサイズ間の調整を自動的に行います。これにより、突然起きたパフォーマンス障害にも、資料を取得しパラメータを変更するという人間の作業時間よりもはるかに早く、適切な対応が可能となります。


運用フェーズ〜自動保守機能

   一般的にデータべース運用時に必要な作業項目としては、バックアップ、統計情報の更新、データ再編成というものがあります。この保守アクティビティを実行するのかしないのか、いつ実行すればいいかを決めるのは、データベース管理者にとって手間のかかる作業です。

   DB2 9では、データベースのバックアップを実行したり統計を最新の状態に維持したり、必要に応じて表および索引を再編成したりするための様々な自動保守機能が含まれています。

   DB2 9の自動保守機能では、どの保守を行うか、保守してもいい時間帯や性能とリカバリ性のバランス、性能重視などの方針を指定することができます。DB2 9は保守アクティビティを実行する必要があるかどうかを指定された方針に基づいて判別し、保守時間枠の中で、必要な保守アクティビティのみを実行します。

   これにより、最適なタイミングで保守をすることができ、サービスが開始してから徐々に遅くなっていく現象に歯止めをかけたり、障害時のリカバリを可能にすることができます。


設計・運用フェーズ〜オプティマイザーと設計アドバイザー

   RDBのオプティマイザーとは、SQLを解釈して、どの索引を使い、どんな順番で表を読んでデータを取得するかというアクセスプランを決定するデータベースのエンジン部分です。アクセスプランによっては性能に大きく関わるために、一般的にSQLの書き方を工夫したり索引を作成するなどして、チューニングすることが多いようです。

   しかしながら、サービスイン直前のストレステスト時に性能問題が発覚したり、ツールによるSQL自動生成などが行われることから、SQLのチューニングを行うというのは非常に難しい環境になってきています。

   DB2 9のオプティマイザーでは、SQLを解釈する時に最適なクエリの書き換えを行い、書き換えたSQLに従って、最適なアクセスプランを決定します。このクエリの書き換え機能により、ツールで生成したSQLや初心者が書いた効率の悪いSQLでも書き換えをしてくれるので、クエリのチューニングを必要としません。

   例えば、同じ表に2つのViewを定義していた場合、開発者は2つのViewをJOINするようなSQLを書くことがあります。DB2 9のオプティマイザーでは、2つのViewが1つの表にアクセスすることを知っていますので、開発者が書いたSQLをシンプルなものに書き換えて処理します。その結果、パフォーマンスも向上するのです。

オプティマイザーによる照会書き直しの例
図2:オプティマイザーによる照会書き直しの例
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

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日本アイ・ビー・エム株式会社 岡口 純子
著者プロフィール
日本アイ・ビー・エム株式会社  岡口 純子
データサービス・テクニカル・セールス所属
お客様担当SEからSIプロジェクトでのインフラ・DBを中心に構築経験を経て、現在はDB2の技術支援(設計支援、パフォーマンス・チューニング、案件サポートなど)を実施中。現場が楽になることを願い、経験からの実践的なセミナーを多く開発し、講師もしている。


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