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いまさら聞けないApache〜Webサーバ構築のキソ

第2回:Apacheをインストールしてみるのは難しくない

著者:ビーブレイクシステムズ  木下 喜雄   2007/7/4
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バイナリパッケージからのインストール

   今回は導入が簡単なバイナリパッケージからのインストール方法を解説します。
バイナリパッケージインストール方法一覧
表3:バイナリパッケージインストール方法一覧
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   表3の通り、パッケージ管理ツールは高レベル(apt、yum)と低レベル(dpkg、rpm)に分けることができます。高レベルツールは非常に便利ですが、設定ファイルで指定したリポジトリ以外の場所からパッケージをダウロードすることはできません。

   一方、低レベルツールは高レベルツールのような便利さはありませんが、インストールするパッケージのルートディレクトリの指定やリポジトリに登録されていないパッケージの導入など、パッケージに対して細かな設定をすることができます。

   低レベルツールからインストールするか、高レベルツールからインストールするか悩むところだと思います。もし、インストールしたいパッケージが公式のリポジトリにある場合は、高レベルツールからインストールするべきでしょう。普及が進んでいるソフトウェアの場合には、大体、公式リポジトリにあると考えて良いです(Apacheは、公式リポジトリに登録されています)。

   では、公式リポジトリにない場合はどうすればよいのでしょうか。公式リポジトリにないパッケージをインストールする方法は次の2つがあります。

  • 非公式リポジトリからインストールする(ただし非公式リポジトリにある場合に限る)
  • 低レベルツールからインストールする

表4:公式リポジトリにないパッケージをインストールする方法

   非公式リポジトリを使用する場合、リポジトリ間で競合するパッケージがあるなどの理由で依存関係が解決できないケースがあるので注意が必要です。そのような場合には、必要なパッケージを個別に取得し、低レベルツールでインストールした方が良いでしょう。


aptとyumの仕組み

   それではaptとyumの仕組みについて簡単に解説します。aptやyumは設定ファイルで設定したネットワーク上の公式/非公式リポジトリなどから最新のパッケージを取得し、依存関係を自動で解決しながらインストールしてくれます。

   aptは内部でdpkgを実行します。aptは基本的にdpkgが適切に処理できるように、パッケージの取得や依存関係の解決などを行い、整理したものをdpkgに渡す仕事をしているだけです。

   またyumも同様で、yumは内部でrpmを実行しています。yumも基本的にrpmが適切に処理できるように整理したものをrpmに渡す仕事をしているだけです。すなわち高レベルツールからインストールしても低レベルツールからインストールしても、結果はまったく同じものがインストールされます。

aptとyumの仕組み
図1:aptとyumの仕組み

   なお、aptもしくはyumはOSをインストールした時点ですでに皆さんの環境にセットアップされていると思いますので、セットアップについては省略させていただきます。


aptを利用したインストール

   それではaptでApacheをインストールしましょう。なおインストールは管理者でなければ実行できないため、事前に管理者権限を持つユーザでログインしておく必要があります。

   実際に記事を執筆する際に利用した筆者の環境は表5の通りです。

OS ディストリビューション カーネルバージョン
Linux Debian GNU/Linux 2.6.16.9-kuroboxHG

表5:筆者のDebian環境


aptでのインストール方法

   aptでのインストールを行うには、まず管理者権限のユーザで次のコマンドを入力して実行してください。

# apt-get install apache2

   するとApacheのインストールがはじまります。

パッケージリストを読み込んでいます... 完了
依存関係ツリーを作成しています... 完了
以下の特別パッケージがインストールされます:
  apache2-mpm-worker apache2-utils apache2.2-common
以下のパッケージが新たにインストールされます:
  apache2 apache2-mpm-worker apache2-utils apache2.2-common
アップグレード: 0 個、新規インストール: 4 個、削除: 0 個、保留: 0 個。

   次にapache2パッケージをインストールするのですが、そのためには次の3つのパッケージが必要です。

  • apache2-mpm-worker
  • apache2-utils
  • apache2.2-common

表6:apache2パッケージをインストールするのに必要なもの

   それぞれの役割は次の表の通りです。

パッケージ名 役割 依存
apache2 apache2のドキュメントなど apache2-mpm-workerもしくはapache2-mpm-preforkなど
apache2-mpm-worker apache2の本体など apache2.2-common
apace2.2-common 各種モジュールや設定ファイルなど apache2-utils
apache2-utils apacheで使えるユーティリティーなど 基本的なライブラリ

表7:aptでのパッケージ一覧

   インストール途中で「続行しますか [Y/n]?」というメッセージが表示されますので、ここでは「Y」と入力してください。これでApacheのインストールは完了です。

pache2 2.2.3-4 を (.../apache2_2.2.3-4_all.deb で) 置換するための準備をしています ...
apache2 を展開し、置換しています...
apache2 (2.2.3-4) を設定しています ...

   このようにaptが依存関係を自動で解決して対象のパッケージをインストールしてくれたので、Apacheを簡単にインストールすることができました。


ディレクトリ構成

   aptからApacheをインストールした場合ディレクトリ構成がapt用になります。aptでのディレクトリ構成は下記の通りです。

NO パス 説明
1 /etc/apache2/ Apacheの各種設定ファイルが置かれているディレクトリ apache2.conf:Apacheの各種設定ファイル
ports.conf:ポート番号設定ファイルなど
2 /usr/lib/apache2/modules/ モジュールが置かれているディレクトリ mod_proxyなど
3 /usr/sbin/ Apache本体やapache2ctlが置かれているディレクトリ apache2:Apache本体
apache2ctl:Apacheの起動や終了などを行うためのスクリプトファイル
4 /var/log/apache2/ ログファイルが置かれているディレクトリ
※設定ファイルで変更可能
access.log:アクセスログ
error.log:エラーログ
5 /var/www/apache2-default デフォルトのWebルートディレクトリ
※設定ファイルで変更可能
index.html:初期公開ファイルなど

表8:aptのディレクトリ構成

   表8の1行目のディレクトリが重要です。このディレクトリ配下に各種設定ファイルが置かれていますので、Apacheの設定を変更するときはこのディレクトリ配下のファイルを編集します。

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株式会社ビーブレイクシステムズ 木下 喜雄
著者プロフィール
株式会社ビーブレイクシステムズ  木下 喜雄
Javaスペシャリスト。前職ではCobol,VBを用いた大規模流通業向けシステム開発を行う。その現場で大規模システム構築時の開発効率の向上を目指してオブジェクト指向的な考え方を身につける。その後独学でJava言語を習得し、Java専業ベンダーであるビーブレイクシステムズに転職、現在は、Javaを用いた開発だけではなくお客様とのリアルコミュニケーションを実現できるマルチなエンジニアを目指し、日々奮闘中。


INDEX
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