TOPプロジェクト管理> 活用まで見据えた「真のアーキテクト」
プロジェクトの成功要因
プロジェクトを成功に導くキーファクター

第4回:安定したIT基盤を支える技術選択

著者:日本総研ソリューションズ  前田 稔   2007/5/24
前のページ  1  2  3
活用まで見据えた「真のアーキテクト」

   「アーキテクト」とは最近よく目にするキーワードである。それは単にサーバやOS、ミドルウェアなどの基盤に詳しい技術者ではなく、それらの知識を集約して1つの形を作る役割までを求められる技術者であると筆者は考える。

   すなわちハードウェアやミドルウェアといったプロダクトの選定に関してはもちろん、その組み合わせ上で動かすアプリケーションをどう組み立てるか、どのような開発技術を用いるかといった点をもきちんと考慮することができる技術者が「アーキテクト」と呼ばれるにふさわしいはずだ。そのためには、以下の要素が求められる。

何か専門分野を持つ

   例えば「技術」や「プロダクト」に関して制作者に匹敵するほど詳しいとか、ベンダーと互角に議論ができる分野を持っていることは自分の自信につながり、専門以外の領域にも進んでいける地力を持つことができる。また「目利き」役の技術者やベンダー技術者から一目置かれるようになれば、彼らから様々な有益となる情報を得ることができる。


きちんと理論を組み立てられる

   技術を組み合わせてシステム基盤を構築する際に、きちんと説明ができるようなマインドを持つことがプロジェクトを推進する力となる。例えば「とりあえずこの構成で」というときの「とりあえず」にも何か理由があるはずで、それを押さえていないとトラブル時に拠るべき理論を構築できない。そうなると取り返すのに大きくリソース(時間、人、モノなど)をロスすることとなる。


プロジェクトも見られるようになる

   プロジェクトの管理はプロダクトマネージャ(棟梁)がいれば充分というものではない。基盤技術や開発手法など、非機能要件に関してはアーキテクトの責務である。プロジェクトのシステム要件を満足させるためのあらゆる方策を検討するのはプロダクトマネージャと同様である。さらに先ほど述べた通りに運用までを考慮したIT基盤というものをプロジェクト内で作り上げなければならない。

   こうしたマインドを持った真のアーキテクトが、プロジェクトの成功において重要な位置を占めているのである。今後IT環境構築のプロジェクトを実践される際には、ぜひこうしたアーキテクトのポジションについても、いっそう検討してみてはいかがだろうか。

前のページ  1  2  3


株式会社日本総研ソリューションズ 前田 稔
著者プロフィール
株式会社日本総研ソリューションズ  前田 稔
株式会社日本総研ソリューションズ 技術本部
テクノロジーセンター所属
1998年 東京工業大学大学院修了
1998年 日本総合研究所に入社。主にカードシステムに関わる開発に従事
2005年 技術本部に着任。現在はシステム基盤研究、開発支援業務を実施中


INDEX
第4回:安定したIT基盤を支える技術選択
  技術選択のリスク
  誤ったデータベース選定
活用まで見据えた「真のアーキテクト」