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第5回:Turbolinux

著者:市民電子情報網  安田 幸弘   2006/11/20
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付属パッケージ

   サーバ版には、インターネットサーバやファイルサーバ、データベースサーバとして使用するための一般的なオープンソースソフトウェアが付属する。
Turbolinuxに付属するパッケージ群
図2:Turbolinuxに付属するパッケージ群
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   様々なオープンソースソフトウェアは、Red Hat Enterprise Linuxなどのディストリビューションに対応したRPM形式のパッケージを公開しているが、Turbolinuxを対象としたものは少ない。このため全体的なパッケージ数が少なく、もう少し種類が欲しいと思うこともあるだろう。

   例えばサーバを仮想化するソフトウェアとして注目されている「Xen」はTurbolinuxのパッケージとしては用意されていない。Xenのインストールにはある程度の技術レベルが要求されるため、パッケージ化が望まれる。

   なおサーバ版には、オープンソースソフトウェアだけで構成されたディストリビューションとは別に、EclipseやTomcat、JBoss、StrutsといったJava関連のアプリケーションを収録した「Java CD」や、商用ソフトウェアの評価版を集めた「ソリューションパックCD」などが付属する。Turbolinux ServerのユーザはソリューションパックCDに含まれるソフトウェアの製品版を割引価格で購入できるなど、Turbolinuxならではのメリットもある。

   またデスクトップ版のパッケージとしては、インターネットブラウザやメールソフト、オフィススイートなどのビジネスアプリケーションから、ゲームや各種メディアファイルが再生できるメディアプレイヤー、iPod接続ソフトなどのエンターテインメント分野までを網羅している。


管理ツール

   Turbolinuxには「Turboツール」と呼ばれる独自の管理ツール群が付属し、基本的なシステム設定はこれらのツールを使って行うことができる。またパッケージの管理やアップデートは「TurboPLUS」で、さらにLinux全般の設定はKDEに付属する標準的な管理メニューから設定できる。

アップデート作業向けのTurboPlus
図3:アップデート作業向けのTurboPlus
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   しかしWebサーバやメールサーバなど、個別のサーバ管理ツールは付属しないため、管理コマンドによる作業や設定ファイルの変更が必要だ。


サポート

   前述のコストの項で説明したように、Turbolinux Serverは付属するサポートの内容によりいくつかのパッケージが用意されている。一番安いパッケージに付属するものは、アップデータの提供とインストール時のサポート(90日間/件数制限なし)だが、この程度のサポートがあれば十分というケースもある。

   これは、組織内のスタッフによる程度の管理が可能なためアップデータ以外のサポートは不要というケースや、商用アプリケーションを利用する関係で無償のコミュニティディストリビューションでは都合が悪いといったケースなどだ。こうした用途には、低価格で安心して使えるTurbolinuxはよい選択だろう。また、重要なセキュリティホールについては比較的迅速にアップデータが提供されることがある。

   さらに高度なサポート付きのパッケージでは、インストール時に加え、設定や障害へのサポートも行われる。サポート期間は1年で、この間はWeb/メールでの問い合わせが無制限で可能となる。

   また、インシデント単位の「Turbosupport Incident」や、使用目的によって対象サービスを選べる「Turbosupport MySelect」、電話やFAXなどで問い合わせできる「Turbosupport Standard」など、各種のオプションサポートサービスも用意されている。

   なお製品としてサポートされる期間は、サーバ版が最長10年、デスクトップ版で7年と、本連載で取り上げたディストリビューションの中では最も長い。ただし、サーバは5年、デスクトップは3年を超えてのサポートが有償となる。


その他

   日本を拠点とするディストリビューションだけに、日本語関係の処理については十分な性能を備えている。デスクトップ版では、Windowsの入力ソフトウェアとしても人気の高い「ATOK for Linux」や高品位な商用フォントが装備されるなど、Windowsと較べても遜色のない日本語環境が手に入る。

   入手可能な情報についても、Red Hat Enterprise Linux以外の商用ディストリビューションとしては比較的多い。過去のバージョンとの互換性や他のOSとの相互運用性についても問題のないレベルだ。

   なおサーバ/デスクトップ版共に、30日間のアップデート権が付いた試用版が利用できる。

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株式会社市民電子情報網 安田 幸弘
著者プロフィール
株式会社市民電子情報網  安田 幸弘
取締役。主にオープンソースソフトウェアを使用した非営利組織向けのネットワークサービスの提供やサーバの運用/管理を行うとともに、フリーの技術ライターとしてインターネット、サーバ管理などに関して書籍や雑誌記事を執筆している。


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