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セマンティックWebによる情報統合 〜Web 2.0と情報活用を支えるメタデータ
セマンティックWebによる情報統合 〜Web 2.0と情報活用を支えるメタデータ

第4回:統合技術として導入が進むセマンティックWeb
著者:野村総合研究所   田中 達雄   2006/9/8
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標準仕様に基づくデータ変換定義

   次にデータ変換定義そのものが標準仕様であることがあげられる。既存の統合技術/統合製品が搭載しているデータ変換定義は、ベンターもしくは製品独自仕様に基づく機能であり、ベンダーや製品が変わった場合、データ変換にかかる投資が無駄になる可能性が高い。

   それに対してエンタープライズ・セマンティックWebは、W3Cの標準仕様(RDF、OWL)に基づくデータ変換定義となるため、ベンダー製品が変わってもデータ変換にかかる投資が将来に渡って無駄にならない。

標準仕様に基づくデータ変換定義
図2:標準仕様に基づくデータ変換定義
出典:野村総合研究所


推論可能

   従来の統合技術/統合製品に推論のメカニズムはないが、エンタープライズ・セマンティックWebはオントロジーの内容から推論するメカニズムを持つ。

   従来の統合技術/統合製品の場合、固定的に定義もしくはコーディングされた情報に基づきデータ変換を処理するが、エンタープライズ・セマンティックWebは固定的に定義されていなくてもオントロジーの関係から類推する機能を保有している。

推論可能
図3:推論可能
出典:野村総合研究所

   図3の例を見ると、従来の統合技術では、左のメタデータから右のメタデータに変換するために固定的な定義がなされ、さらに機能的にサポートされていない変換については、別途プログライミングを行っている。それに対して、エンタープライズ・セマンティックWebは、特定のメタデータを対象とした固定的な定義は行わず、共通の概念としてオントロジー定義のみをしている。

   例えば、「歯医者」の上位概念に「医者」があり、「専門分野」が「歯科」の「医者」は「歯医者」であることが語彙と語彙の関係から推論され、既存の統合技術/統合製品のように個別に定義もしくはプログライミングしなくてもデータ変換される。

   これらの優位性に気づいた先進的なユーザ企業から、いくつかの事例が紹介されている。今回では、大手通信機器ベンダーの事例を紹介する。

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野村総合研究所 田中 達雄
著者プロフィール
株式会社野村総合研究所  田中 達雄
1989年4月に富士通株式会社に入社。ソフトウェア工学を専門分野とし「UMLによるオブジェクト指向開発実践ガイド(技術評論社出版)」を共著。2001年2月に野村総合研究所に入社。現在、情報技術本部にてIT動向の調査と分析を行うITアナリスト集団に所属。Webサービス/BPMなどの統合技術、エンタープライズ・アーキテクチャなどが専門。


INDEX
第4回:統合技術として導入が進むセマンティックWeb
  はじめに
標準仕様に基づくデータ変換定義
  大手通信機器ベンダーの事例