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オープンソースで構築する業務システム特集 |
第3回:「GARAGARADOA」をオープンソースとした影響
著者:ニユートーキヨー 湯澤 一比古 2006/6/2
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オープンソースビジネスアワード
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OSCARアライアンスはオープンソースソフトウェアのビジネス利用を推進するためのIPO法人であるが、2002年12月から「オープンソースビジネスアワード」として、功績のあった企業を毎年褒賞している。
2004年にGARAGARADOAを効果的にオープンソースを利用した企業として「株式会社モンテローザ」がアワードの対象となった。独自開発のWebでの予約受け付けのバックオフィスの予約データ管理にGARAGARADOAを組み合わせて利用して、経済効果を高めたことが褒賞事由となっている。
同年の12月14日の表彰式では「長崎県(情報システム構築の基盤技術にはオープンソースソフトウェアを採用)」、「ペンギンファクトリー(「ペンギンオフィス2」のオープンソース公開)」とともに、当時モンテローザの情報システム部長だった工藤敬之氏がトロフィーを受けた。
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最後に 〜 ユーザと開発者の距離
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今振り返ってみると、社内的にはGARAGARADOAの開発は中途半端で失敗だったと思われる。現在、ニユートーキヨーでは一部の店舗で年末の予約の集中する時期にだけしかGARAGARADOAは利用されていない。しかも、本部から予約状況を確認するためだけにしか利用されていないのである。早稲田大学大学院の国際情報通信科とOSCARアライアンスが共同で行ったUSFOSの活動も中途半端に終わってしまったと思われるが、GARAGARADOAについてもそれと同じことがいえるのではないのだろうか。
それにも関わらず、GARAGARADOAの製品版である「WebTime」を発売している富士通長野システムエンジニアリングやモンテローザのようにオープンソースソフトウェアとしてGARAGARADOAの利点を活かして成果をだしている企業もある。
これはオープンソースソフトウェアのよいところだ。
このことは、普通であればそのままお蔵入りしてしまうシステムが公開されることにより、命脈を保ち生き長らえて発展して行く土壌が用意されていることをあらわしている。再度、ニユートーキヨーで予約業務に感心の焦点が移った時には、これを利用することが可能になるはずである。
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ユーザの立場の違いによるシステム活用の差
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ここで、Source Forgeで可能であったことがUSFOSのプロジェクトではまったくうまく回らなかったことについても考えておきたい。この2つの活動の本質的な違いは「システムを活用する人たちの立場」だと思われる。
前者は開発者同士のコミュニケーションの場が提供できれば充分であるが、もう後者はビジネスアプリケーションが対象となっていたために、システムの開発者だけでなく、システムの利用者であるユーザも巻き込んだコミュニケーションが必要だった。OSやミドルウェアの世界では往々にして開発者自身が利用者でもある。
しかし、業務アプリケーションの世界では開発者自身がシステムを利用するというケースはまれだと思う。「開発者と利用者の距離を縮め、コミュニケーションの過程を記録に残せるような仕組みを作るには、現状のツールにはよい物がない」ということが業務アプリケーション開発用のコラボレーションサイトの立上げが難しい理由の1つにあげられるだろう。
GARAGARADOAのようなオープンソース業務システムが増え、システムが作りやすいコラボレーション環境が整備されることを夢見ながら、この話を終わりとしたい。
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著者プロフィール
株式会社ニユートーキヨー 湯澤 一比古
財務部情報システム室 室長。53年東京生まれ。
75年にニユートーキヨーに入社。8年弱のウエイター経験を経て、システム担当に就任。ニユートーキヨーが「セルベッサ」をオープンソースとして発表した時に、システム担当者として初めてOSSに触れる。現在、同社のシステム室長。OSCARアライアンス、OSSAJなど、複数のオープンソース推進団体に参加。セルベッサ以外にも「ガラガラドア」や「オルット」などのオープンソースシステムを手がけている。
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