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作って学ぶXMLデータベースNeoCore XMS実践
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第6回:PICLS〜XMLデータベースを用いた販促ツール作成支援
著者:ウルシステムズ  最上 隆史、林 浩一   2006/5/22
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連載のまとめ

   本連載では、XMLデータベースを有効活用することのできる場面について、現場のエンジニアに納得できる説明をしながらXMLデータベースの使い方を示すことを試みてきました。これまでお読みいただきましたが、いかがでしたか。

   非定型の業務というような領域でシステムの支援にどれほどの効果があるのかピンとこないという人は多いと思います。実は、本連載で仮想的に想定した営業支援ツールの例も現実の事例として紹介した販促ツール作成支援の例でも、非定型の業務ということ以外に重要な共通点があります。

   それはXMLフォーマット化の進展が前提になっている点です。販促ツール作成の支援は、組版や印刷に関わる素材のXML化が十分進展しているという背景があります。営業支援ツールではXMLフォーマットを用いたプレゼン資料の活用が前提でした。現実にはそこまでXML化が進んでいる職場は多くありませんので、少し時代を先取りした形です。しかし、OpenOffice.orgやMicrosoft Officeの標準文書フォーマットがXMLになりつつあるように、オフィス文書のXML化は明らかな時代の流れなのです。

   現在、OracleやIBMをはじめとする主要なRDBベンダーもXMLデータベース機能の強化を行っています。このことは、XML化の進展による新しい市場ニーズの拡がりに期待しているからに他なりません。定型業務の電子化は多くの企業ですでに行われている現在、今後の競争はこれまで手がつけられていなかった新しい領域をいかにITの力で支援できるかというところにかかっていると考えられるからです。


XMLデータベース活用は企画力が勝負

   XMLデータベースの活用がこれまでにない「新しい業務支援を企画すること」ではじめて有効なのだとすれば、現場のエンジニアの皆さんが関わる以前の企画力が勝負になります。むしろ最初から開発するシステムの要件の中に「XMLデータベースを使わないとできないような機能が含まれている」ということが起きることになります。

   もし、そうなってもあわてる必要はありません。規模やパフォーマンスの問題は既に解決されているからです。XMLデータベースを扱うには、以下の点を押さえておけばよいでしょう。

  • システム全体の構成は大きく変わるものではない
  • 検索言語としてSQLでなくXQueryを使う
  • スキーマの設計は不要だがXMLデータ構造の設計が必要になる
  • 関連するXMLベースのドキュメントについての知識が必要になる

表4:XMLデータベースを扱う際の留意点

   非定型業務といえば、エンジニアの皆さんが関わる開発作業自体がまさに非定型の共同作業です。この領域でのドキュメントのXML化が進展すれば、XMLデータベースの適用が効果的になってくる場面がいろいろなところで現れてくることでしょう。もしかしたら、読者の皆さんの業務自体が、XMLデータベースなしには進められない時代が来るかも知れません。

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PICLSの詳細はこちら
http://www.picls.net/

運営元:株式会社ジェイ・アイ・シー
http://www.jic.co.jp/

取材協力:株式会社エフ・イー・エス
http://www.fes-total.com/
ウルシステムズ株式会社 最上 隆史
著者プロフィール
ウルシステムズ株式会社   最上 隆史
シニアコンサルタント
独立系ソフトウエアハウスで7年のシステム構築を経験。2005年より現職にて基幹システムの構築およびコンサルティングに従事。最近はRDBMSとXMLDBの利用価値に関心を持つ。

ウルシステムズ株式会社 林 浩一
著者プロフィール
ウルシステムズ株式会社   林 浩一
アジャイル開発手法やXML技術を駆使して、ビジネスとITのギャップを埋めるITコンサルティングを行う部門を率いるディレクター。お客様のビジネスを本当に支援できる先端技術の活用を目指して、理論と実践の両面からアプローチしている。
INDEX
第6回:PICLS〜XMLデータベースを用いた販促ツール作成支援
  XMLデータベースを販促ツール作成作業へ適用
  XMLとXMLデータベースによる販促ツールの作成支援
  PICLSのシステム概要
連載のまとめ