Better Together、広がる可能性

2008年6月23日(月)
高添 修

OSだけで守れないところにFCS

Windows Server 2008はさらなるセキュアOSを目指して、OS内部のサービス実行権限を見直し、BitLockerと呼ばれるフルボリューム暗号をサポートし、Rights Management サービスや証明書サービスを標準機能とし、サーバマネージャからセキュリティ構成ウィザードを呼び出して独自のセキュリティポリシーを運用する仕組みを整えました。

ただし、日々進化する脅威にOSの機能だけで対応するのは難しいのも事実です。そこでマイクロソフトは、ウイルスやスパイウェア対策のためにForefront Client Security(以下FCS)を提供しています。Client Securityと言ってもWindows Vista用ということではなく、OSを保護するという点でWindows Server 2008も対象です(近々Windows Server 2008や Hyper-V 対応のためのアップデートが行われる予定)。

またFCSは、専用の管理環境を構築し詳細なレポートを表示したり、最新の攻撃に対応するための定義ファイル更新をMicrosoft Updateに統合したりといったメリットがあり、システムを攻撃から守りつつも運用管理のコストを極力抑えていくことが可能になります。

Forefrontはセキュリティ製品のブランドで、ほかにもウイルスの駆除やスパム対策の機能をExchange Serverに提供する「Forefront Security for Exchange Server」や、Windows SharePoint Services 3.0、Office SharePoint Server2007上のドキュメントをウイルスから守り、事前に定義されたキーワードによるコンテンツフィルタリング機能を提供する「Forefront Security for SharePoint」などがあります。これらを組み合わせることで、Windows Server 2008上で稼働するアプリケーションもその要件に応じて脅威から守ることができ、今後はOSだけでなく、サーバアプリケーションの運用に欠かせないものとなるでしょう。

さらなる情報収集のために

本連載では全4回に分けてWindows Server 2008の特徴と、Windows Server 2008を取り巻くさまざまな環境について解説をしてきました。ただ、ここに書くことができたものはごく一部の情報でしかありません。読者の方々にはさらなる情報収集をお願いすると共に、ITの全体最適化のため、System CenterやForefrontなどとの組み合わせによるソリューションも具体的にイメージしてみてもらえればと考えています。

また、今回の記事で触れなかったアプリケーション開発に関する部分でも、Windows Server 2008では.NET Framework 3.0が提供され、ワークフローエンジンやサービス指向の分散アプリケーション開発をサポートする機能などが標準機能として利用できるようになっています。

これらはOSとは独立したものなのでWindows Server 2008が必須ではありませんが、機能が追加された.NET Framework 3.5と共に、Windows Server 2008時代のアプリケーション環境としてぜひご活用いただければと思います。

Windows Server 2008は多くの現場の声を吸い上げた製品として提供を開始し、多くの企業、そして多くのエンジニアの皆さまから高く評価されています。さらに、今後はHyper-Vが出荷されることになります。覚えるべきことが多いIT業界ではありますが、少ないリソースで大きな成果をあげるためにも、まずは多くの方にこの新しいOSに触れていただければ幸いです。

最後にWindows Server 2008評価を支援するプログラムとして、「試用期限付き評価版ダウンロードサイト(http://www.microsoft.com/japan/technet/downloads/trials/default.mspx)」、また試用期限のないイメージが使えるプログラム(有償)として「TechNet Subscription(インフラ担当者向け)(http://www.microsoft.com/japan/technet/abouttn/subscriptions/default.mspx)」「MSDN Subscription(開発者向け)(http://www.microsoft.com/japan/msdn/subscriptions/)」を紹介しておきます。どれもエンジニアを支援するために作られたプログラムなので、ぜひ参考にしてみてください。

マイクロソフト株式会社
エバンジェリスト。特定の製品やお客様を担当せず、マイクロソフトの製品やテクノロジ、サービス、時にはマイクロソフトそのものを日本中の技術者に啓蒙すべく、イベントやセミナー、記事執筆などを行っている。ITよりも人に興味があり、手順を教えるのではなく、意味を伝えることに重点を置いて活動したいと思っている。ブログ:http://blogs.technet.com/osamut

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