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【即実践!HTML+CSS】ポストWebコーディング

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第1回:結構良さそうだぞHTML 5!

著者:吉田 光利

公開日:2008/04/07(月)

HTML 5は本当に盛り上がっているのか?

いくら画期的な規格とはいえ、盛り上がっていなければ意味がありません。では実際のところ、HTML 5を推進しようという機運は高まっていて、その周辺は盛り上がっているのでしょうか?

「Internet Explore」「Firefox」「Safari」「Opera」などの主要Webブラウザの動向を調べると、今回は力が入っていることがわかります。

本気でHTML 5に取り組み、そろっていい方向に向かって競争しているように見えます。かなり盛り上がっているのです。なぜそのように盛り上がりを見せるに至ったのか、その理由を次で見ていきましょう。

1つ目の理由は、時代がWeb標準(HTML 5)を求めていることがあげられます。現在、現場は悲鳴をあげています。それは「あちらがたてば、こちらがたたず」という「死のルーティンはもういやだ!」という悲鳴です。Web標準さえしっかりしていれば「あちら(Internet Explore)がたてば、こちら(Firefox)がたたず」ということがなくなり、Webブラウザ間のバグを修正するための無駄な時間を省くことができます。筆者自身もいつもこのやりきれない時間に悩まされ続け、「この作業がなければ飲みにいけるのに…」という暗い気持ちでバグをつぶす日々を送っています。という現場の声(筆者の声)が届いたのか、各主要ブラウザは動き始めたと感じています。

Acid(現在はバージョン3)というWebブラウザのWeb標準の対応状況を試すテストがあります。これはWebアプリケーションで使われる動的コンテンツのチェック、つまりECMAScript(JavaScript)やW3CのDOMレベル2関連の規格を使ったDOMツリー操作と今までのようにHTMLやXHTML、CSSなどのテストです。

各主要Webブラウザは、このテストに真剣に取り組み、いい点を出せるように競っているようです。というのもこのテストをデザインしたのは、あのW3CでHTML 5の開発・策定をしている重要人物Googleのイアン・ヒクソン氏だからです。ヒクソン氏はWHATWG(Web Hypertext Application Technology Working Group)のメンバーでWeb標準規格を設計し、現在はW3CのHTML 5ワーキンググループの共同責任者になっています。

このイアン・ヒクソン氏のデザインしたAcid3をクリアするということは「死のルーティンで苦しんでいるあなたたちよ、あなたたちを助ける準備は整いました。もう何も心配しないで安心して開発してください」というWebブラウザの優秀さを証明する絶好の機会になり、それは大変な宣伝になるのです。新たなWebブラウザシェア獲得を考えた場合、現状Web標準に従うことをアピールすることは大変有効な方法なのです。

図2:Acid3によるテスト

2つ目の理由「Internet Explore 8」

2つ目の理由はInternet ExploreもWeb標準(HTML 5)を目指していることです。Internet Exploreも本気です。依然として利用者は多いですが、最近ではFirefoxなど他のWebブラウザにシェアを奪われつつあり、安心できない状況になっていました。そこで登場したのがInternet Explore 8です。ついこのあいだInternet Explore 7を発表したばかりなのに、もうバージョン8のベータ版をリリースしました。

このバージョン8ではWeb標準に準拠するということをアピールしています。他のブラウザがWeb標準を標榜してシェアを獲得してきているので、そこに対するけん制という意味合いも強いでしょう。それでもInternet ExploreがWeb標準になると宣言したことは大きなことです。少しではありますがすでにInternet Explore 8においてHTML 5の機能を実装しています。

例えば、クッキーの代わりとしてHTML 5の機能である「sessionStorage」や「globalStorage」をInternet Explore8では実装し、Ajax使用時に戻るボタンで操作を戻せるようになっていたりします(IE 7で戻るボタンを押すと、別のページに遷移する)。これまではInternet Exploreだけは独自の路線を進んでいたところがありましたが、今回はどうやら違うようです。

現状でシェアがもっとも高いInternet Exploreも対応に進んでおり、Web標準という時代の流れは非常に勢いがあるという言えるでしょう。

長々とHTML 5は盛り上がっているという理由を書いてきましたが、要は「Web標準という時代にマイクロソフトも賛同している」ことが、HTML 5の盛り上がりを示しているといえるでしょう。 次のページ




吉田 光利
著者プロフィール
吉田 光利
BRIANS PET TOKYO主催者
WebデザインからRuby on RailsでのWebアプリ構築までをトータルに行うWebコンテンツデザイナー。現在はBRIANS PET TOKYOにてWebアプリケーション「DORIBAR(ドリバー) 」を開発中
http://brianspet.com


INDEX
第1回:結構良さそうだぞHTML 5!
  HTML 5時代はすぐそこまで来ている!
HTML 5は本当に盛り上がっているのか?
  現場の混乱はあまりない!?