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踊るエンジニア 〜システム開発現場の風景
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第6回:怒鳴りこみ・すれ違いと真実

著者:ビーブレイクシステムズ  鹿取 裕樹   2005/7/22
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はじめに

   車窓から入ってくるほこりに顔をしかめながら荒れた道路を走り、ホテルに向かっていました。車窓から見える看板には「光臨歓迎」などと見慣れない漢字の羅列が並んでいます。ここは日本から飛行機を乗り継いで約8時間でたどり着いた場所、中国内陸のある地方都市です。

   現在、日本と中国の関係は不安定ですが、日本の経済は中国と密接に関わっており、多くの日本の企業が中国に進出しています。

   ソフトウェアベンダーも顧客の中国進出への対応やオフショア開発などの目的で、次々に中国に進出しています。筆者の会社は中国ビジネスに注力しているというわけではありませんが、筆者自身はこの数年で中国関連の案件に関わることが多くなっています。

   中国案件に関わるといっても、それまでは日本国内で作業していました。そのため実際に中国に行ったのはこの時が初めてでした。そしてこれがいつもより暑い夏のはじまりでした。


システムの概要

   今回のシステムはERPパッケージを使用した基幹システムです。ユーザ企業は日本のメーカで、システム導入の対象は中国に新規に立ち上げる法人です。ERPパッケージのモジュールのうち、表1のものを使用しました。

  • 財務会計
  • 管理会計
  • 生産管理
  • 在庫管理
  • 販売管理

表1:求められた機能

   ERPパッケージ導入の際には外部システムと連携させるケースが多く、今回も生産管理システムと連携させることとなりました。また、データの入力を容易にするために、ERPのフロントシステムをWebベースで開発することになりました。


システム構成

   システム構成は図1の通りです。WebベースのフロントシステムはJavaで開発され、Tomcat、PostgreSQLなどのオープンソースを活用しています。また、ERPのサーバのOSにはLinuxを使用しています。

システム構図
図1:システム構図


スケジュール

   スケジュールは全体で12ヶ月でした。筆者は要件定義の後半から参加しました。

スケジュール
図2:スケジュール

   プロジェクトはトップダウンで進められており、筆者が参加するまでは日本の本社のユーザによりシステム化のスコープなどが決められてきていました。要件定義も本社のユーザとおこなうという方針で進められました。

   エンドユーザが海外にいるため頻繁にミーティングをすることができず、例えできたとしても短期間の出張であるため非常に短いものでした。このため筆者が参加した時点では、エンドユーザはどのようなシステムが導入されるかを全く理解していない状態でした。

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ビーブレイクシステムズ
著者プロフィール
株式会社ビーブレイクシステムズ  鹿取 裕樹
オープン系ITコンサルタント。SAPジャパン社にて、ERP導入コンサルティングを行い、そのユーザ企業の現場でJava及びオープンソースの躍動を感じ、それらに興味を持つ。その後、会社を設立。オープンソース及びJavaを用いたシステム提案活動を行い現在に至る。専門分野はSAP R/3と連携するWEBシステムのコンサルティング。


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