|
|
1 2 3 4 次のページ
|
|
はじめに
|
プロジェクトでは様々な要素が絡み合っています。
システム開発といえばOS、プログラミング言語、パッケージ、データベースなど、まず技術的な側面が思い浮かぶでしょう。しかし、プロジェクトにはユーザ側と開発者側に多数の人間が関与するため、政治的な側面も大きいのです。
ユーザ企業内の部署間の対立によってプロジェクトが翻弄される。プロジェクト期間内にユーザ側の担当者が代わり、新担当者が前任者の方針とは全く異なる方針を適用する。などといった話も耳にします。
1部門だけで使われるシステムであれば、プロジェクトに参加するステークホルダーが少ないため、政治的な面でのマネジメントは比較的容易です。しかし近年では、構築されるシステムは全社最適を目指すものが増え、複数部門に関わることが多くなっています。このため、様々な立場のステークホルダーがプロジェクトに関わることになります。
PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系ガイド)では、プロジェクトマネジメントを行うために必要となる一般的なマネジメントスキルとしての「組織への影響力」の説明において、「権利と政治力の理解」の必要性が記されています。いかに優れた技術者がいたとしても、政治面でのマネジメントの失敗はプロジェクトに致命的なダメージを与えます。
以前筆者は、ある大規模なシステム開発プロジェクトに参画していました。そのシステムは全社的なもので、経理、購買、営業、生産など、ほとんどの部門が関わっており、まさに政治面のマネジメントが重要なプロジェクトでした。そして、ここで取り上げるということは、もちろんそれが上手くいかなかったということです。
|
プロジェクトの概要
|
今回のプロジェクトで開発するシステムは製造業の基幹システムです。このユーザ企業にはホストコンピュータで構築された基幹システムがあったのですが、長年に渡る追加開発によってつぎはぎだらけのシステムになっていました。また、同じ事象を表すデータが異なる場所に異なる形式で保存されるといった状態になっており、その維持が人的にもコスト的にも大きな負担となっていました。そのため情報システム部門が悲鳴をあげ、基幹システムを刷新することになったのです。
この企業の全業務をカバーするシステムであるため、大きく分けて表1の機能が求められました。
|
|
表1:求められた機能
|
しかし、表1の機能を0から開発すると時間も費用も莫大にかかるため、パッケージを使用することになりました。パッケージでは自社で蓄積された生産ノウハウがシステムに反映されないため、パッケージの拡張や既存システムと連携させることになりました。
|
1 2 3 4 次のページ
|
|
|
|
著者プロフィール
株式会社ビーブレイクシステムズ 鹿取 裕樹
オープン系ITコンサルタント。SAPジャパン社にて、ERP導入コンサルティングを行い、そのユーザ企業の現場でJava及びオープンソースの躍動を感じ、それらに興味を持つ。その後、会社を設立。オープンソース及びJavaを用いたシステム提案活動を行い現在に至る。専門分野はSAP R/3と連携するWEBシステムのコンサルティング。
|
|
|
|