LinuxWorld Expo/Tokyo 2007 基調講演レポート「ソフトウェア産業におけるオープンソースの影響力」

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LinuxWorld Expo/Tokyo 2007 基調講演レポート「ソフトウェア産業におけるオープンソースの影響力」

Linuxイベント基調講演

2007/6/4 14:00

「エンジニアならぜひコミュニティへの参加を!」とアピール

東京ビックサイトで5月30日から開催されているLinuxWorld Expo/Tokyo 2007から、基調講演「ソフトウェア産業におけるオープンソースの影響力」の内容をお伝えする。

同イベントの幕開けとなる最初の基調講演を行ったのは、Google Inc. エンジニアリング部 ウーバー テック リードのグレッグ スタイン氏だ。同氏はバージョン管理システム「Subversion」の開発者としても著名であり、Apache Software Foundationの議長も務めている。またGoogle Inc.では「Google Code」をはじめとしたオープンソースプロジェクトに関わっている。

Google Inc. エンジニアリング部 ウーバー テック リード グレッグ スタイン氏

Google Inc. エンジニアリング部 ウーバー テック リード グレッグ スタイン氏

スタイン氏は「オープンソースソフトウェアがもたらしたフリーなプラットフォーム上では、多くの人が表現や活用を行うことができます。お金を払った人、学術関係者に限るといった制限がないからこそ、様々な人がそれぞれの挑戦をしています。その中で新しいビジネスモデルも登場しています」と、従来のIT環境がオープンソースソフトウェアによって大きく変化したことについて述べた。

その根底には、プログラマが持つ自由なライセンスへの期待・要望があるという。さらにスタイン氏は、自身が関わるApacheのライセンスの特徴として「見返りを求めないライセンスである」と述べ、プログラマは自由を認めてくれるものを選ぶ傾向にある、と語った。「これは一般のユーザには関係のない部分ですが、このようなライセンス形態を求めるプログラマの活動がプレッシャーとなり、業界を動かしていくでしょう」と続けた。

「オープンソースソフトウェアの登場で、OSやWebブラウザ、データベースなど、様々なソフトウェアの売り方のパターンが変わりつつあります。ソフトウェアは無償化される代わりに、設定やカスタマイズなどのアシスタンスなどが有償化されるでしょう。さらにこの動きに対抗してネットワークを利用したサービス提供で収益をあげるモデルも増えると考えられます」とソフトウェアビジネスの今後の動きについて意見を述べた。

さらに「今後は同じ機能を持つものならば、ライセンス形態によって選択される時代がくるでしょう」と、gnomeとKDE、OpenSSHとSSH、x.orgとxfree86、といったケースを例に語った。

最後にスタイン氏は「オープンソースビジネスを進めていく上では、開発コミュニティとの友好関係を築く必要があります。その方法としては、すでにコミュニティに参加しているエンジニア採用をすることも重要ですし、またそうすることでエンジニアがコミュニティに参加する意欲を期待できるようにもなるでしょう」とアピールした。

問い合わせ先

LinuxWorld Expo/Tokyo 2007

URL:http://www.idg.co.jp/expo/lw/lw2007/

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(ThinkIT編集局  神保 暢雄)

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