イベントレポート「Apollo mini Camp @ TokyoでApolloの最新情報を公開」
AdobeApolloイベント
2007/5/24 17:00
パブリックベータの機能をいち早く紹介
アドビ システムズが5月23日に、ゲートシティ大崎 ゲートシティホールにおいて開催した「Apollo mini Camp @ Tokyo」のレポートをお届けする。
- イベントに先だち、デベロッパーリレーションズ担当 シニアプロダクトマネージャー マイク・チェンバーズ氏と、弊誌の人気連載「Ajaxではじまるサービス活用」の著者であるピーデー 川俣氏による対談を行った。その模様は追って公開する。
このイベントは、Flash、PDF、HTMLなどの技術を使用してリッチインターネットアプリケーション(RIA)の構築や展開を可能とする技術として開発が進められている「Apollo(開発コードネーム)」を紹介する目的で行われたものだ。アプリケーションやコンテンツ開発を行っている開発者/クリエイターを対象に、最新情報をデモンストレーションを交えて紹介した。
チェンバー氏は「Apolloはクロスオペレーティングランタイムであり、Webアプリケーションとして動作しているものをデスクトップアプリケーションとして動作させられるものだ」と述べ、実例を基にApolloの役割と、Apolloによって実現できるものについて語った。
デベロッパーリレーションズ担当 シニアプロダクトマネージャー
マイク・チェンバーズ氏
続けて「ApolloはMicrosoftのSilverlightやWPF/Eの対抗馬ではないか、といわれるが、ApolloはWebページからデスクトップへ降りてきたものであり、さらに開発に必要なスキルもまったく違う。C#で開発されている方はWPFを、WebデベロッパーでHTMLやFlashを使っている人はApolloでというように、競合するものではない」と述べた。
Apolloで作られた典型的なアプリケーションの例として「finetune」を紹介し、Webブラウザ上のUIがそのままApolloアプリケーションとして実行でき、さらにWebブラウザとの間での連携も可能な点についてデモンストレーションを行った。
finetune DESKTOPのWebサイト
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)
- finetune
- http://www.finetune.com/
- finetune DESKTOP
- http://www.finetune.com/desktop/
「このfinetuneはWeb上でプレイリストを共有し、音楽を楽しむことができるプレーヤだ。FlashとHTML、Javascript、Ajaxで作られており、同様の機能をApolloアプリケーションでも実現している。さらにローカルのiTunesのデータにもアクセスが可能で、Web上だけでなくローカルなファイルともマッシュアップできる。これまでWebデベロッパーとして開発を行っている人なら、現在持っているスキルを活用してアプリケーション開発が可能だ」とメリットを強調した。
「Flash/Flex/ActionScript」と「HTML/JavaScript/CSS/Ajax」の2つのテクノロジを組み合わせた開発はもちろん、どちらかのテクノロジを使ったピュアアプリケーションも作成できる。どちらのテクノロジもランタイムに組み込まれているため、有機的に利用できるとのことだ。
次に、Apolloエバンジェリストのダニー・デューラ氏が、これから登場するパブリックベータの内容について、Adobe社外ではじめてとなる情報公開を行った。
Apolloエバンジェリスト ダニー・デューラ氏
パブリックベータでサポートされる主な機能は以下の通りだ。
- ドラッグ&ドロップおよびクリップボードのサポート
- PDFサポート
- Nativeなファイルダイアログ
- 複数ウィンドウ表示のサポート
- オンライン/オフラインなどサービスAPIをサポート
- ファイルアイコンイメージのサポートおよび拡張子による関連付け
それぞれの機能についてデモンストレーションが行われた後、質疑応答ではランタイム普及の方策やビデオアクセラレータへの対応、セキュリティなど、非常に高度な質問が行われた。
一番最後の問いである「Apolloアプリケーションがサーバになれるのか」については「検討した機能の1つですが、開発チームが盛り下がって1.0には入らなくなりました」とチェンバー氏が答え、会場内に笑いが漏れた。
現在Apolloはパブリックアルファ版が公開されており、夏にはパブリックベータが、2007年の秋終りから冬はじめに正式版の1.0が登場する見込みだという。Apollo 1.0はランタイムが英語のままではあるが、稼働するApolloアプリケーションの中で日本語は問題なく利用できるという。
アドビシステムズでは7月10日に、さらにApolloを詳しく知ることができるイベント「Adobe Apollo Developers Night」を開催する予定だ。
(ThinkIT編集局 神保 暢雄)