
SaaS World Conference & Demo 2007 コンファレンスレポート「SaaSの現状と将来展望 〜米国SaaSビジネスからの示唆〜」
イベントコンファレンスSaaS
2007/3/30 14:00
SaaSを一過性の加熱で終わらせないために
東京コンファレンスセンター・品川にて3月28日/3月29日の2日間開催されたSaaS World Conference & Demo 2007から、野村総合研究所 情報技術本部技術調査部 主任研究員 城田 真琴氏のコンファレンスの内容をお届けする。

野村総合研究所 情報技術本部技術調査部 主任研究員 城田 真琴氏
城田氏はSaaSの現状について「フォーブスの調査によると、アメリカにおける成長率の高い技術系の企業として、5年間で売り上げの伸び率が117%を記録したsalesforce.comが3位となった。これは、IT分野に属する企業の中ではGoogleに続く位置だ。今、欧米では少なくとも8社に1社がすでにSaaSを利用しているというデータもあり、かなり浸透してきている感がある」と述べた。
その一方で「SaaSを考えた場合、その適応分野はCRMまたはSFAが多いと思われているが、実際にはCRMに続いてERP、HRMの導入数が多い。日本ではまだCRMが中心ではあるが、それ以外のものも日本進出が進められている。昨年からはSaaS型のBIが増加しており、今後はその分野も注目すべきだろう」と語った。
城田氏は、SaaSのビジネスモデルはWeb 2.0的なロングテールを目標とした形態に近いとし、「一般的なSaaSの場合、経費の形で利用できることから、ロングテールにあたる中小企業を中心にアプローチが進められる。しかし顧客単価は低くなるため、サービス管理コストを最大限に下げる努力が必要」と提供側の課題について指摘する。
さらにASPでの問題点を踏まえ「iTunesで視聴するのと同じようにインターネット上で試用でき、顧客自身にトレーニングをゆだねる徹底したセルフサービスの追及、プラットフォームの公開によるエコシステムの構築、そしてオープンソースのような永遠のβ版と同じく絶え間ないサービス向上への努力を行わなければASPとなんら変わらない」と語った。
SaaSの今後に関し、まず導入側の課題として「アプリケーション資産の棚卸しとビジネスプロセスの再評価が必要だ。どのプロセスでSaaSを使い、その場合に発生する統合要件や処理、差別化すべきアプリケーションとそうでないものの見極めが必要」と述べる。
また提供する側の課題として、業種別SaaSの可能性やオープンソースとの融合、さらにビジネスプロセスの遂行も外部ベンダーに任せる「BPO(Business Process Outsource)」までを視野に入れる必要があるとした。
最後に城田氏は「SaaSビジネスは成長を続けている市場だが、一方で加熱するブームがさめる可能性もある。アメリカの調査では2005年にSaaSを導入した企業の満足度は92%だったが、2006年には80%と12%も下がっている。これは、様々なベンダーが参入した結果、サービス品質が一定に保たれなくなっていることが原因だろう。ASPを単にSaaSと呼び方を変えただけで、高品質のサービスを提供できないベンダーは市場からの撤退を余儀なくされるだろう」と締めくくった。
(ThinkIT編集局 神保 暢雄)