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オープンソースカンファレンス 2007 Tokyo/Spring、セミナー「セキュアOS開発BOF」

セキュアOSオープンソースコミュニティ

2007/3/20 11:00

オープンソースソフトウェアの真の奥義は開発にあり

3月16日、17日の2日間にわたって、日本電子専門学校にて開催された「オープンソースカンファレンス 2007 Tokyo/Spring」の中から、セミナー「セキュアOS開発BOF」の模様をお伝えする。今回は、セキュアOSを例に、コミュニティの運営について、セキュアOSユーザ会の中村 雄一氏が講演を行った。

セキュアOSユーザ会 中村 雄一氏

セキュアOSユーザ会 中村 雄一氏

中村氏は、はじめに「オープンソースソフトウェアの真の奥義は開発にあり」と語り、「ソフトウェアを開発するのは楽しい。そしてオープンソースソフトウェアは、誰でも開発に関わることができるため、エンジニアにとってもっともよい環境だと考えている」と述べた。

しかし、中村氏によれば「数多くのオープンソースソフトウェアが生まれているものの、例えばSourceForgeでは、約半分ぐらいのプロダクトの開発進行が停滞してしまっている」という。どれほどよいプロダクトであってもコミュニティが活発に活動していなければ、そのプロダクトは使われることなく、消えていく可能性が高いとのことだ。

多くのオープンソースソフトウェアはボランティアによる開発であるため、自分が勤める会社の業務外で活動をすることから、コミュニティの維持やモチベーションの低下が理由としてあげられた。他にも、Upstream(本家)との関係や開発/ユーザコミュニティの広げ方などの課題があるという。

今回の講演では、途中から座談会方式で行われ、TOMOYO LinuxやLIDSなどのセキュアOSの開発者に関わっているメンバーが登場し、コミュニティの活性化について意見がだされた。

活性化しているコミュニティでは、やはりコミュニティを引っ張るリーダー的存在が必要であるという。しかし、1人の開発者に依存してしまうと、その開発者がいなくなった場合に、コミュニティの活動が停滞してしまうという問題もあるとした。

また、日本におけるオープンソースのコミュニティは、海外に比べれば参加しやすいとしながらも、メーリングリストに意見を投稿しにくいことやコーディングルールなどのコミュニティ独自の空気があることなど、新たな人が参加し難い敷居の高さがあるとのことだ。これらの点を改善していき、コミュニティの活性化をしていきたいとした。

オープンソースソフトウェアの良い点は、このような改善点を皆で考え、実際に改善できる点にある。これまでは、ソフトウェア単体が注目されていたが、今後はこのような人間関係やコミュニティの運営などの話題に焦点が集まっていくだろう。

問い合わせ先

オープンソースカンファレンス実行委員会

URL:http://www.ospn.jp/osc2007-spring/

日本SELinuxユーザー会

URL:http://www.selinux.gr.jp/

(ThinkIT編集局  曽我 一弘)