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オープンソースカンファレンス 2007 Tokyo/Spring、セミナー「オープンソースCMS、Ploneを用いたWebアクセシビリティの実現」

WebアクセシビリティPloneCMS

2007/3/19 17:00

WebアクセシビリティをPloneで実現

3月16日、17日の2日間にわたって、日本電子専門学校にて開催された「オープンソースカンファレンス 2007 Tokyo/Spring」の中から、セミナー「オープンソースCMS、Ploneを用いたWebアクセシビリティの実現」の模様をお伝えする。今回は、最近注目を集めているWebアクセシビリティについて、NTTデータの取り組みが紹介された。

車椅子生活を送るNTTデータ 山本 真也氏は、「ITの普及によって買い物など日常生活でできることが広がった。今後は、誰もが使えるアクセビリティと使い勝手に配慮したユーザビリティを持つユニバーサルデザインが普及することで、これまで障害があって使えなかった人の利用がさらに進むとよい。そして特定の人が何かを利用できない状態に気づいたら、皆さんはその利用を妨げる問題を解決する側に回って欲しい」と語った。

NTTデータ 山本 真也氏

NTTデータ 山本 真也氏

続いてWebアクセシビリティを考慮したWebサイトの構築事例として、Ploneを利用した稲城市立中央図書館のWebサイトが紹介された。同Webサイトの構築プロジェクトを推進したNTTデータの原田 保氏は、「多くの自治体でCMSの導入が進んでいる。CMSのテンプレートを活用してアクセシビリティに対応すれば、専門家でなくても対応したコンテンツのアップロードが可能」とそのメリットを語った。

NTTデータ 原田 保氏

NTTデータ 原田 保氏

しかし原田氏によるとCMSのWebアクセシビリティに関しては正反対の2つの都市伝説があるという。1つはCMSだから大丈夫というもの。そしてもう1つはCMSだからダメというもので「これはどちらも正しくない」という。

原田氏は、「商用CMSの課題として、アクセシビリティの機能が備わっていなかったり、あったとしても機能が限定的なことがある。またカスタマイズ機能も不十分だ」と話した。今回のプロジェクトでPloneを採用した理由として、多くの実績があることや、オープンソースであるためにカスタマイズの自由度が高いこと、低コストでの導入ができること、掲示板など動的コンテンツに対応していることをあげた。

なお、今回の導入にあたっては苦労した点や不具合などが多々あったという。例えば、音声読み上げソフトが意図したとおりの読みあげを行わない、Alt属性の指定ができない、見出しレベルが想定したとおりに認識されないという問題などがあり、1つ1つ原因を検証してテンプレートの変更やカスタマイズによって対応していったという。「CMSを入れただけでは十分なWebアクセシビリティは確保できない。CMSにコンテンツを投入したら不断に検証を繰り返し、不具合があれば調整していくことが重要だ。これが先に述べた伝説の両方が正しくない理由だ」と語った。

稲城市立中央図書館のWebサイト
http://www.library.inagi.tokyo.jp/

最後に「今回はPloneを利用したが、Ploneが常によいというわけでもない。Webアクセシビリティを実現するには、トータルな配慮が必要だ」と締めくくった。

問い合わせ先

オープンソースカンファレンス実行委員会

URL:http://www.ospn.jp/osc2007-spring/

株式会社NTTデータ

URL:http://www.nttdata.co.jp/

(ThinkIT編集局  千本松 歩)