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第23回:2万人の年収比較!IT系職種は本当に給料が安い?
IT転職百科事典

第23回:2万人の年収比較!IT系職種は本当に給料が安い?
編者:Tech総研  2007/4/11
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隣の芝生は青く見えるか
 「隣の芝生は青く見える」というが、自分の現在の環境に不満があると、厳密に比較したわけではないのに、どうしてもほかの環境がよく見えてしまうもの。仕事においてもそうだ。「あの会社のほうが給料いいみたいだ」「うちの業界は全体がダメ。ほかの業界に移ったほうがいいみたい」……。

 こうした他人との比較は、人間の本性のようなもので、それをやめることは容易ではない。たとえ、世間から見ればうらやむような環境にいる人でも、常に上や横を見ては、「ウチはだめだなあ」と嘆息をもらすものである。もちろん他人との差異を意識することは、その差異が厳然とした事実であるならば、意味がある。最初は単なる「うらやましい」という嫉妬の感情だったものでも、方向をポジティブに転じることができさえすれば、自分の環境を改善する努力の源になるからだ。つまり、差異があるからこそ、人は向上できるということもいえるのである。

 というわけで、今回は職種間の年収比較である。データはTech総研が行った、約2万人のビジネスパーソンへのアンケート調査結果を使用する。技術系だけでなく、販売・サービス、営業などの文系職種も含んだデータだ。調査対象者には年収金額の実数ではなく、「400万〜500万円未満」というような形の年収幅を尋ねている。そのため、平均年収は出てこないが、年収の分布をグラフで見れば、おおよその年収構造が見えてくるはずだ。
サービス・販売職に比べたら技術系は天国?
 30代前半層(30〜34歳)のビジネスパーソンのデータから、「ソフトウェア・ネットワーク系」「ハードウェア系」「クリエイティブ系」「サービス・販売系」「営業・事務・企画系」の1職種を取りだして年収分布を見たのがDATA1である。「ソフトウェア系」には、システム開発、ネットワーク設計、運用・監視、研究・特許・テクニカルマーケティングなどが含まれ、「ハードウェア系」には、回路・システム設計、半導体設計、制御設計、セールスエンジニアなどが含まれる。また、ここでいうクリエイティブ系とは、主にグラフィック・デザイン、映像カメラマン、音楽ミキシングなどの職種だが、フリーランサーではなく企業との雇用関係を結んでいる人たちのことだ。

 例えば、「ソフトウェア系」では、最も多い年収層は「400万〜500万円未満」(26%)だが、「ハードウェア系」ではこれが「500万〜600万円」(27%)となる。ところがほかの3つの職種では最大分布が「300万〜400万円」以下になっている。このグラフでいえば、技術系の2つの職種よりも、ピークが左つまり低年収のほうに位置しているのだ。驚くのは、「サービス・販売系」の職種で最も多いのが年収「200万円未満」層という事実だ。年収200万円未満というと平均月収が16万6000円未満ということ。この職種のサンプルには、アルバイト、パートタイム労働者が2割強含まれていることも要因と考えられる。

 この5つの職種の年収分布グラフを見るかぎり、技術系職種はほかの職種に比べると、相対的に分布がより高額の方向、右の方向へシフトしていることがわかる。営業・事務職よりも右シフトだ。「ウチは給料が安いなあ」と思っていても、世の中のほかの職種に比べるとまだ恵まれている、ということはいえるのかもしれない。
DATA1 営業・販売と比較!30代前半の年収帯比較
DATA1 営業・販売と比較!30代前半の年収帯比較


リクナビNEXT それでは同じ技術系職種の間ではどんな違いがあるだろうか。職種ごとに年収はどのように差があるのかを詳細に分析していこう。  続きはこちら>>

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