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チームビルディング
企業価値を高める強いチームの創成

第1回:チームビルディングのフレームワークとは

著者:オープンストリーム  赤穂 満   2007/8/3
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チームビルディングとは

   最近の企業を取り巻く環境の変化は著しいものがある。しかもその変化はダイレクトに事業主体である組織やメンバーに影響を与えている。その結果として、事業分割や事業統合といった組織再編が繰り返えされ、組織の構成員である社員にも多くの脅威を与えていることはいうまでもない。

   このような環境下で、昨今「チームビルディング」という言葉をよく耳にする。

   チームビルディングとは、各部署の利害を超え、組織をチームとして捉え、企業の方向性や経営理念などを確認しながら、チーム内の共通認識と相互理解を深めることで、チームとして組織力を高めていくことである。

   本連載では4回に渡ってチームビルディングの概要を説明する。

グループとチームは異なるのもの?

   従来からあるグループは単に集団のことを指す。個人の知識や技術は周囲に影響を及ぼすことがあってもそれは限定的なものであり、大筋ではその人の役割の中でのみ活用される。そのためグループで発揮するパワーはメンバーの成果の総和となる。

   一方でチームは勝利するための集団のことである。個人の知識や技術はチームの中でお互いに助け合ったり刺激し合ったりして高め合い、それらが生み出す価値はチーム全体で発揮しなければならない。つまり個々のメンバーの力を高め、それによってチームが強くなるという相乗効果を期待するものであり、チームのパワーはグループで発揮するメンバーの総和以上のものとなる。

   ゆえに利益や他社との差別化を期待するプロジェクトはチームでなければならないといえる。

   チームには個人の能力を意識するあまりメンバー間に深刻な争いが発生したり、全員が揃って見当違いの方向を目指してしまったりするリスクがある。そのため、チームとしての効果を最大にし、リスクを抑えることがチームビルディングの重要な課題となるのだ。


企業モデルのフレームワーク

   企業活動の概要をあらわすと図1のようになるであろう。

企業モデルのフレームワーク
図1:企業モデルのフレームワーク
(画像をクリックすると別ウィンドウに拡大図を表示します)

   具体的な企業活動を展開していく場合、ビジネスモデルを構成する要素について図1に示すような企業モデルのフレームワークを使い、ビジネスモデルの全体像と戦略目標を踏まえる。さらに必要な要素を詳細にブレークダウンしながら、関係者間で議論や検討していくことによって、個々の要素との関係がより明確になっていく。

   企業活動のフレームワークは、1つ1つの企業活動が企業の業績向上(または低下)にどう結びついているかを検討する際に用いられる。企業活動の構成要素は「戦略」「組織」「マネジメント」「業務」「情報技術」の5つの領域に大きく分類される。

   戦略領域には、企業の目標(ビジョン)や全社・事業戦略策定が含まれる。組織領域は、組織構造・リーダーシップ・企業文化に関わる活動である。また企業活動を支援していくオペレーションに大きく影響する要素として、マネジメント、業務、および情報技術が含まれ、これらの各要素が相互に関連し合い企業業績を左右するのだ。企業の構成要素のうち、企業業績の向上に影響を強く及ぼす要素を抽出・統合したものがビジネスモデルである。

   ここで注意しなければならないことがある。いくら優秀な戦略レイヤに位置する経営陣がすばらしい戦略なり組織を構築しても、オペレーションを展開していく社員に落ちた場合、いくつかのギャップが発生することがよく見受けられる。

   これらのギャップこそが、チームビルディングで改善すべき問題点なのである。

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株式会社オープンストリーム 赤穂 満
著者プロフィール
株式会社オープンストリーム  赤穂 満
サービス推進兼SAXICE推進担当 統括ディレクタ
活動状況:これまでに、製品ライフサイクル、製品構成情報管理やビジネスモデルなどに関する解説記事、論文多数。
所属学会:日本設計工学会、経営情報学会、ビジネスモデル学会、正会員。


INDEX
第1回:チームビルディングのフレームワークとは
チームビルディングとは
  企業活動において散見されるギャップ
  強いチームとなるための必須要件