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第5回:NGN 〜インターネットとの違い

著者:ThinkIT編集局   2007/4/10
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未来を担うNGN

   インターネットが普及し、ネットワーク関連の技術は常に進化・採用されてきたが、古い技術が未だに動いているのも事実だ。こうした混在した環境を整備するために、NGN(Next Genaration Network)が注目されている。2006年12月には、NTTグループを筆頭にした企業によるトライアルも開始されており、注目は高まる一方だ。

   特に新しい技術に対する注目が集まっていることから、ビジネスには関係と思うかもしれないが、実は大いに関係がある。ネットワークが根本的に変わってしまうということは、今までのビジネスが成り立たなく恐れがあるからだ。逆に今まで想像もできなかったような、新しいサービスを展開できるようになるかもしれない。

   では、具体的にはどのような技術が採用され、どのようなビジネスチャンスが生まれていくのだろうか。今回は未来を担うNGNについて解説していく。

NGNの生まれ

   そもそものNGNの目的は、携帯電話やSkype(注1)などの登場によって収入が大きく減少することとなった固定電話事業が再生するために、安価なサーバやルータを用いて現在の電話網を「オールIP化」することに乗り出したのがはじまりだ。

※注1: インターネット網を使い、ユーザ同士が無料で音声通話ができるソフトウェア。サーバを経由しないピアツーピア技術が利用されている。

   当初は、英国のブリティッシュ・テレコムが起案したものであったが、日本、米国、欧米なども同じ危機に直面しており、各国で一斉に行われることになった。しかし、大きく生活に密接した電話網を取り換えるため様々な課題があるのが実情である。

   大きな問題となっているのが、現在のインターネットの主流がADSLやFTTHなどのベストエフォートであることだ。ベストエフォートは最善の努力はするが品質は保証はしないというものであり、それでは安定した通話は行えない。

   安定した通話を行うには品質が保証されたQoS(Quality of Service)を必要とするが、QoSではネットワーク帯域が足りなくなってしまううえ、サーバの負荷も膨大なものになってしまう。そのため新しい通信網が必要となるだろう。現在はIPベースのパケット通信系に移っていき、その頃にアナログ通信はなくなると思われる。

   このように電話網だけではなく、インターネット網も変わっていかなければならない。また、通信機器も例えばIPv6(注2)に対応させていかなければならないだろう。

※注2: インターネットの次世代プロトコルで、事実上無限のIPを持っている。現在のように急速に発展したインターネットにおいて、前プロトコルIPv4ではIPの枯渇問題が問題視され、制定された。

   しかし、IPベースの通信網になると様々なサービスが生まれてくると考えられる。例えば、現在のカーナビはGPSが使われているが、IPベースのネットワークを用いることも可能になる。そのほかにも、携帯オーディオプレイヤーに音楽配信が可能になったり、TVの映像も配信できたりするようになる。

新しいネットワークの世界
図1:新しいネットワークの世界

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INDEX
第5回:NGN 〜インターネットとの違い
未来を担うNGN
  NGNの定義と特徴
  ビジネスモデル